武富士取締役への過払責任追及の影響

「武富士の役員に過払い金の責任追及をする」

という記事を先日紹介しました。

(「武富士役員5人を提訴(過払い金返還請求」)

実は、このようにニュースになると、ほかの事務所も同調して、

同様の訴訟がたくさん起こる可能性があります。

その前に、当事務所の依頼者だけ回収できれば、と思っていましたが、

このようにニュースにされてしまうと、どうにもなりません。


今回は、同様の訴訟が頻発した場合の今後の見通しについて

私の予測を書きます。

武富士に関して

まず提訴された役員は、10件や20件であれば対応可能でしょうが、

100件を超える訴訟を提起されると対応不能になる可能性があります。


通常の過払い金返還請求訴訟であれば

貸金業者は、支配人等の従業員を仕事の一環として法廷に出すことができますが、

役員への責任追及訴訟では、支配人を出すことはできません。

そこで、役員本人が法廷に行くか、

弁護士に依頼する必要があります。

100件を超えるとなると、その訴訟の分の弁護士費用が必要になります。

となると、最終的には役員も破産せざるを得なくなり、

回収不能になる可能性があります。

SFCG(旧商工ファンド)についても、今回と同じようなケースがあり、

当事務所ではSFCG本体と同時に社長も訴えていましたが、

双方破産になってしまいました。


武富士も、SFCGと似た展開になる可能性があります。

半面で、武富士の更生管財人は、武富士役員の息のかかった方であると聞きます。

もしそうだとすると、役員への責任追及を防ぎたいと考える可能性があります。

更生手続上、どこまで可能なのかはわかりませんが、

役員へ責任追及可能な、平成18年以降の過払い分についてのみ全額配当するなり、

全体の配当率を上げるなり、

役員への責任追及を防ぐ、または少なくする方向での、更生計画を検討するかもしれません。

そういう意味では、よい展開になる可能性もあります。


他の消費者金融やカード会社に関して

この訴訟が頻発するというのは

同業他社の役員にとっても他人事ではありません。

みな、莫大な額の責任追及のリスクを負担しているとうことになるからです。

筋からいえば、今からでも正しい法定利率での計算上、

過払い金が発生している取引に対しては、

一切の請求をやめればよいのでしょうが、

その場合、資金繰りがショートして、倒産する可能性があります。

倒産してしまえば、過去の過払い金返還請求について、

武富士同様役員の責任追及という話になります。

とすると、いまから請求をやめるわけにもいかず、

倒産手続きをとるわけにもいかず、どうにもならない形になります。

倒産手続きをして、過払い金を返還する負担を解消する手段をとる場合には、

平成18年以降に役員だった人も一緒に破産する覚悟が必要になります。

これはなかなか難しいでしょうから、

今後は、消費者金融が倒産手続きを利用する可能性は低くなっていくのではないかと思います。


ただ、逃げ道をふさがれた場合は、

一部の準大手消費者金融にみられるような、

執行逃れの悪質な手段を取り出すかもしれません。


このように、役員への責任追及訴訟は、

過払い金返還請求だけでなく、

消費者金融・カード会社業界に大きな影響を及ぼす可能性がありますので、

今後も注視が必要です。

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