なぜ弁護士は弁護士特約の利用に消極的か

最近の自動車保険には、いわゆる”弁護士費用特約”というものがあります。

当事務所では、弁護士費用特約の利用を積極的に勧めています。


弁護士費用特約とは、自動車保険に附帯している特約で

自分が被害者になった場合の賠償金を請求するための弁護士費用を

保険会社が支払ってくれるというものです。

保険料は安いので、最近は付けている方が多くなっています。


この保険をつけておけば

通常であれば弁護士費用の費用対効果を考えると

損害賠償をあきらめざるを得なかった様な件についても、

弁護士費用のことを考えずに請求できるので、便利な保険です。


ところが、多くの弁護士は、この特約を利用しての依頼を嫌がります。

その理由は次の通りです。


弁護士費用との費用対効果からみて、

損害賠償をあきらめざるをえなかったような事件の典型は少額の事件です。

少額の事件は一般に弁護士費用が安く設定されています。

少額の事件について、弁護士費用を多く取ると、意味がなくなってしまうからです。

しかしその場合、弁護士は手間から考えると赤字覚悟で動くことになります。

それでも、依頼者の懐が痛む話であれば、「それもしょうがないか」と思いながら仕事をします。


ところが、依頼者の懐が痛むわけでもない弁護士費用特約利用について

わざわざ赤字覚悟で動こうと思うのは困難です。


かといって、弁護士特約利用の事件だけ高めの弁護士費用をもらうと言っても

保険会社は納得しませんので、そういうわけにはいきません。


そんなわけで、通常、弁護士は、弁護士費用特約の利用については、消極的になるのです。

しかしそれでは、せっかくの弁護士費用特約が生きてきません。

そもそも、費用対効果を考えないのであれば

弁護士費用は請求する額に応じて決めるべきではなく、

弁護士の手間に応じて決めることが妥当です。


そうすると、依頼者にとって費用対効果の問題が生じない弁護士費用特約利用の件については

タイムチャージ制で弁護士費用を決めるのが合理的です。


実際、いわゆる弁護士費用特約(自動車事故の場合のみ)

を拡大した権利保護保険(三井住友海上などが販売しているもので、

自動車事故以外でも使える)

について、では、タイムチャージ制を推進しています。

そういうわけで、当事務所では、

弁護士費用特約利用の件についてはタイムチャージ制を採用していますので、

弁護士費用特約の利用について積極的にご依頼を受けています。


弁護士費用の費用対効果が問題にならないというのは、

弁護士にとってはある意味で、かなり発想の転換が必要な部分があります。

弁護士が入っても額の増加が見込めない事案については、

通常、弁護士は受任に消極的です。

弁護士費用分、損をさせてしまうからです。

でも、そのことを気にしなくてよいのであれば、

「はじめて事故にあい、相手の保険会社とどうしていいのかわからない」

などの場合、相手との交渉などを弁護士にまかせることができます。


このような形で、少額事件の交通事故被害者をサポートしている事務所は

まだ少ないと思います。


交通事故にあわれた方で、弁護士費用特約が付いている方は

当事務所にご相談ください。


当事務所の弁護士費用特約利用の交通事故相談については、こちらをご参照ください。

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