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土曜日, 9月 29th, 2012
偉大なる楔(くさび)の話です。

山小屋の庭にシラビソの木が生えていました。
シラビソとは、高山性のモミの木です。
モミは低いところから、
モミ→ウラジロモミ→シラビソと種類が変わります。
山小屋周辺は、ウラジロモミとシラビソ両方あります。

シラビソは、人里離れた高山ぽい雰囲気が
あって気に入っていたのですが、
鹿にやられました。
木の皮を食べられてしまったのです。
多少食べられても大丈夫なのですが、
周囲を一周食べられてしまうと、アウトです。

残念ながら、立ち枯れてしまいました。
鹿は木の皮の中でもシラビソが
お気に入りのようで、周辺の
シラビソもかなり、やられています。

立ち枯れたままにしておいて、
倒れてきても困るので、
切ってもらいました。

切った後の丸太は
置いておいてもらったので、
少しずつ、チェーンソーで
玉切りにして、斧で薪にしていきます。

しかし・・・
ある程度以上の太さの丸太は
斧が全く、効きません。

気合を入れて、何度も打ち込みますが、
食い込むばかりで、割れる気配がありません。

そのような丸太が結構な量ありますが、
さて、どうしたものかと、困っていました。
チェーンソーで縦に切るか?
なんて、考えていました。

で、色々調べてみると、割れない薪は
楔を使うことが分かりました。

楔というのは、言葉として知っていて、
また漠然としたイメージはあったのですが、
実を言うと、何のためのものか、
ということは考えたことがありませんでした。

とりあえず、楔を薪ストーブショップで買って、
ホームセンターで、大きなハンマーを買いました。

そして、件の丸太に、楔を打ち込んでみます。
ハンマーは、振り上げてガンとやらないで、
コンコンと軽く打ち込むだけでも、
楔は少しずつ、丸太に沈んでいきます。
そして、間を置きながら、
丸太からメキメキと音がします。
さらに、ガンガン打ち込んでいくと、
あっさり、丸太が割れました。

文明の利器です。
おそらく、なんとか文明の頃から
使われていた原始的な道具なのでしょうが、
斧で割れなくて、散々苦労しただけに
楔の力に、びっくりでした。

きっと、どこかから渡来してきた
楔をみせられた原始人も
同じように感動して、びっくりしたのでしょう。

おそるべしです。