民主主義不適格

委任不適格とでもいうことがあります。

弁護士と依頼者との間の契約は委任契約と言います。
モノの売り買いのように一回きりではなく継続しますし,
依頼した弁護士の裁量に,ある程度まかせることになりますので
弁護士と依頼者との信頼関係がないと成り立ちません。

マレですが,相談者の中に,弁護士というもの(場合によっては人間全般)
について不信感が強くて,とてもじゃないが,
信頼して任せるなんてできないという方がいます。
そういう場合は,委任契約を締結することはできないので
交渉であれば,裁判であれば自分ですることをお勧めすることになります。
これを委任不適格と呼びます(私が呼んでいるだけで学問用語ではないです)。

さて,最近の安部政権の動きについて,
弁護士会に属しているせいか,朝日新聞を読んでいるせいか
何かよからぬことを企んでいて,日本がとんでもないことになる
とでもいう論調にたびたびふれます。
安部政権がなにをしようが,いずれは選挙があるわけだし,
将来,仮に戦争だなんだという場合も民主主義の枠組みの中できまるはずです。
そして,批判の対象になっている集団的自衛権だなんだということは
他の民主主義の先進国では当たり前のことで,別に邪悪な国家のマネゴト
をしようとしてるわけではありません。
結局のところ,批判の根っこにあるのは,他の欧米諸国と違い
日本の民主主義は機能しないに違いない
という民主主義に対する不信なのだろうと思います。

民衆の多数決に信頼して任せるなんて,とんでもない。
ろくでもなく,おそろしいことになる。
別にこれは,珍しい考えではなく,
そういう考えに基づいて一党独裁を行っている国も多くあります。

まあ,世の中全体のことを真剣に考えて思い詰めれば詰めるほど
おかしな考えにとりつかれて,先鋭化するというのが人間の悲しいサガですので,
なんともいいようもありませんが。

 
 

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