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脈絡の緩さ

火曜日, 7月 7th, 2015
朝のNHKのドラマは何となくいつもみています。
いまは,まれ というのをやっていますが,話の脈絡が緩い。
過去のあった出来事やキャラクターの特性に,こだわりなく現在の展開がある。
矛盾した,落ち着かない感じを受ける,というものです。

以前にも,こういう感じを受けた朝のドラマがありました。何だったか覚えていませんが。

寝ているときに見ている夢は,脈絡が緩いです。知り合いじゃないはずの人が知り合いだったり,いた場所や年代が突然変っていたり。
ですから,脈絡の緩いドラマは夢のようとも言えます。

現実の世界には,そもそも脈絡はないのかもしれません。
その現実を人間は脈絡という意味づけをして記憶していきます。過去の記憶を脈絡をつけて整理していくというよりは,過去の記憶を脈絡にそって変容させていくというほうが現実に近いかも知れません。
脈絡から外れた記憶は,消えていっていまう。

過去の行動の意味づけや,性格等に一貫性があること,もろもろ辻褄があうこと,こういった脈絡があることが人の誠実性を意味します。
逆に,過去の行動の理由等に脈絡がないと嘘をついているのではないか,何かを隠しているのではないか,という気がしてきます。
こういう感じで,人間行動の脈絡は,大事なわけです。

でも,過去の記憶を脈絡にそって整理している過程で変容させてしまうと,むしろそのほうが嘘の記憶と言うことになります。
それでも,人間は脈絡のある話を真実だと思いたがるのだろうと思います。

依頼者の話をきいていても,話の脈絡がよく分からないと,何かおかしいという気がしてしまいますし,裁判官だって何か変だと思うので,脈絡をつけないとならないと感じます。
でも,実は脈絡ない話が真実なのかもしれません。

とはいえ,これは現実の話。物語は,現実とは違って脈絡を作ることができるから,そして思わぬ偶然があって脈絡をつなげるから,脈絡好きの人間にとってはたまらないのだと思っていました。
そしてドラマの脚本を書く人というのは脈絡を編み上げていくのが好きなひとなのだという気がしていました。
そういう意味では,脈絡の緩いドラマというのは,不思議な存在ではあります。