聞く人と読む人

そろそろ今年も終わりです。

私が今年聞いた言葉の中で、強く印象に残った言葉が、

”世の中には、読む人と聞く人がいて、その両方できる人は滅多にいない”
というドラッカーの言葉でした。


物事を学習する上で

授業や講義で学ぶタイプと、本を読むタイプがいるということです。


この言葉を聞いて、長年の謎が解けました。


私は前々から、”授業”というのは

教科書を読めば10分で分かることを

延々40~50分かけて行う意味不明の儀式だと思っていました。


しかし世の中には”聞く人”がいて、

”聞く人”は、自分で読むのではなく、

誰かから教科書を読んで聞かせてもらってはじめて

理解できるということだったのです。


私は、おそらく”読む人”なのでしょう。

いまだに、講義の類は退屈でたまりません。


私が中学生だった頃、神奈川県の高校受験は

神奈川方式という内申点重視の方法でした(今もそうかも知れません)。


”読む人”タイプにとっては、

授業は苦痛以外の何ものでもないので、

当然、授業態度はイマイチとなり、内申評価に響きます。

神奈川方式は、授業管理上は、好ましいのでしょうが、

”読む人”タイプを排除する方式です。


一発試験であれば

読もうが書こうが自分のスタイルで理解だけすればよいわけですから

両タイプを尊重しているといえます。


現在の弁護士資格試験も、”聞く人”向けになっています。

私の頃は、一発試験だったので

自分のやり方で必要事項をマスターすればよいのですが

今は、ロースクールで延々、授業を聞かされることになるようです。


この方式も、”聞く人”のことだけ考えているように思います。


”聞く人”重視だなぁと感じるのは、試験についてだけではありません。

最近の弁護士会では、一定の業務をする要件等に

”講義を受講したこと”を要件とすることが増えています。


これも、”読む人”のことは全く考えていないように思います。

これについても、管理する側の都合からすると

”読む人”のことは考えにくいのかも知れませんが。


もっとも”読む人”にも、大きな利点があります。

たいていのことは、書籍代以外に、お金を掛けずに独習できるということです。

私も、大学受験にしろ、司法試験受験にしろ、

予備校の類にはほとんどお金は掛けていません。

”読む人”タイプであれば

勉強にそれほどお金をかけずにすむということです。


弁護士業務に関しても、何年か前から

裁判官に対して

書面だけでなく、口頭でも同じことをできるだけ説明するようにしてきていて

そのほうがしっかり伝わっている気がしていました。


おそらく、裁判官の中にも”読む人”と”聞く人”がいて

”聞く人”の裁判官には書面ではなく、口頭で説明したほうが

よく伝わるのかも知れません。

このような具合に、”読む人””聞く人”の話は

今まで漠然としていたことが、色々と整理されたり、色々考えついたりして

とても印象に残りました。

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