進化

先日、大学時代の友人に会いました。
学者で、医療制度等について研究しているようです。
話の中で、昔の医者はほとんど病気を治せていなかったが、
現代医療に進化する過程で、
医者にかかれば病気が治るようになったというようなことを聞きました。

簡単にいえば、科学の進歩なんでしょうが、
やはり興味深いのは、その医療分野での科学の進歩を
実現させた制度的な裏づけのあたりです。

今の弁護士仕事というのは、昔の医者なのではないか
と思います。

直感と経験によって、体を温めましょうとか、水を沢山飲めとか
古書に出ている薬草をせんじてみたりとか
そんな感じで、適宜治療をして、名医もいたのかもしれませんが
全体としてみれば、八卦の類。

それが、大量の治療方法をデータ化して、検証する体制が
整う中で、効いたり効かなかったりする諸々の治療法や薬物の中で
統計的に有効と言いうるのはどれなのか
ということが検証できる体制というものがあったのではないかと推測しています
(以上は友人の話ではなく、私の勝手な推測です)

ということで、弁護士もそういうことをすれば仕事の仕方が飛躍的に進化する
可能性があります。

職人的な弁護士の直感と経験によって、交渉・調停・訴訟等の紛争解決方法を
選択し、また交渉の方法についても、今までの経験に基づいて
うまくいきそうな感じのする方法をとる、というのが現在の弁護士仕事です。

これを、たとえば初期段階で交渉・調停・訴訟をとった場合のそれぞれについて
紛争解決速度、解決費用、解決の有利さ等について統計をとる等の
方法をとれば、直感と経験ではなく、科学的・統計的な紛争解決技術を提供できる
可能性があります。

こういう統計をとるためには、ある程度の事務所の規模が必要です。
一人の弁護士が取り扱える事件量は限られていますから、
統計的に意味がある程度のデータを集めるのは困難だからです。
さらに、大学病院が病気の研究をするように、
組織体としての事務所が有効な仕事方法を研究対象として
追究していくことも重要なのかもしれません。

そうすると個人法務を扱う事務所がある程度、大型化することによって
事件を扱う方法について、全く違った方向の進化していき
弁護士の仕事の仕方が、直感的・経験的なものではなくなる日が来るかもしれません。

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