Archive for the ‘弁護士勝俣豪の雑感’ Category

家電メーカー

金曜日, 9月 7th, 2012
日本の家電メーカーが色々大変なようです。

まあ、そうだろうなあ
と思います。

昨年買った、日本製のスマートフォン。
留守電聞いていると、
メッセージを抹消するには9を押してください。
電話をみると、画面は真っ暗。
適当にボタンを押すと、ロックが掛かっている。
ロックをはずすと、ホーム画面で
数字を押すボタンはない。
そんで、電話の受話器のマークを押すと
文字が書かれたボタンが色々でてきて
そのうち、一つにダイヤルキーがどうたらと書いてあって
それを押すと ようやく数字が押せるようになる。
はれて、メッセージの抹消に成功

こんなものを平気で売り出す企業は
まあ、どうなろうとしょうがないんじゃないかと思います。
(私のスマートフォンの会社は、まだ順調なようですが)

パソコンのキーボードだってそうです。
日本語の入力をしたければ、文節の区切り場所を動かすために
矢印キーをやたらに使います。
(私は、Ctrl+S等を色々使いますが、これは当然敷居が高い)
でも、どのメーカーも、矢印キーは遠いところにあるものばかり。
設計している理系担当者は、英語ばっかり入力して、日本語を入力しないのか?
それとも、Ctrl+ なんて自分がやっているから、それで十分と
誇らしげに思っているのか。

だいたい、キャラクターを使って、パソコン楽しげ、簡単簡単なんてやるくらいなら
普通に五十音順にならんでいるキーボードを作ればよいだろうに。

と、人のやっていることについては、ああすればよいのに
と色々考え付くもので、人様からすれば、
弁護士になんぞ、言われたくない
というところでしょう。

で、人様ならば、色々とアイデアがあるのではと
期待して、人様に聞いてみたり、
相談や委任業務終了後のアンケートに
その手の要望をかいてもらう欄を作ってみたり
色々やってみていますが、
今のところ、結果には結びついていません。
 

失敗の効用

月曜日, 8月 27th, 2012
日経新聞で大学の特集をしていて
博士課程に人が集まらなくて
研究が困難になっているというようなことが
書いてありました。

そういえば,年始に研究者をしている友人が
「このままでは成り立たなくなる」
なんて話をしていたのを思い出しました。
そのときは,なんだかよく分かりませんでしたが,
博士課程に行っても人生を棒に振るだけであれば
まともな人間は,当然集まらない。
その結果,博士課程に進む人をあてにして
成り立っていた業界の仕組みが壊れてきている
というようなことのようです。

大学の研究者でのポスドク問題は
法曹界の一歩先を行っている気がするので,
これは,法曹界の未来の予言しているような
気もします。

今の業界状況,法科大学院の志願者激減の
状況を前提に,司法試験のレベルを維持すれば
おそらく合格者は数百人程度になるのではないか?

そうすると,弁護士を採用したくても採用できず
ということもあるかも知れません。

まあ,そうしたら司法修習後,企業に就職して,それなりに
人生経験積んだ人が,弁護士になって
かえってよいかも。

さて,それ以外に,よい面があるかもしれません。
今までの,司法試験→弁護士ルートは,
一旦社会に出た,社会不適応型エリートの再チャレンジという
性格がありました。

私自身もそうですが,会社に入ってみたものの
サラリーマンは無理だ!
と思ったときに,一番,容易で魅力的なものが
弁護士転身だったわけです。

でも,もう司法試験に逃げられません。
どうなるか?
頑張って起業して会社を作ってください。

今の社会の問題のひとつは,
新しい起業が育っていかないこと
その一つの要因は,東大あたりを出た人間が
起業をするという人生に魅力を感じていないこと
があると思います。

でも,もう
大学院に戻って研究者になっても
司法試験に合格して弁護士になっても
食べてはいけません。

一つ間違えば,エリートニート量産になりますが,
何とか良い方向に向いて欲しいものです。

オリンピック

木曜日, 8月 9th, 2012
オリンピックが行われています。
いつも,ほとんど見ることはないのですが,
スワローズが弱くて,見る気がおこないこと
子供に,卓球・テニス・バトミントン・バレーボールといった
大同小異の競技や
何とも説明しにくい諸々の陸上競技を
覚えてもらう教育的見地から,
少しは見ています。

何故,ああいったもの,
つまり,ヒトサマの体力測定
を見ていて楽しいのか?
右手の人差し指と中指を開いたり
閉じたりを100回やるのを
タイムを計って,誰が世界一か決めるのと
陸上競技の諸々は何が違うのか?
それとも,閉じたり開いたりをみるのも楽しいのか?

私は,なかなかついて行けない世界です。

もっとも,運動会ぎらいは,物心ついたころからで,
幼稚園の頃は,運動会とは,脱走して隠れて
連れ返されてを繰り返すものでした

今でも
高校だったり,大学だったりの
運動会をさぼったり,授業をさぼったりして
体育の単位が足りなくて,卒業できない
どうしようという夢をたまに見ます。

この業界だと,試験(大学だったり司法試験だったり)
に落ちる夢を見る人は多いと聞きますが
私にとっては,運動会の類がどうにもです。

もっとも,体育・運動会嫌いは
なかなか学校生活をやりづらいので,
子供には同じ轍はふませまいと
体育を好きになるよう仕組んでいて
今のところ,それは成功しているようです。

生産的先延ばし

水曜日, 8月 8th, 2012
グーグルのブログ等をみるサービスにリーダー
というのがありますが,
何も登録しないでいると,
適当に,お勧めと思われるものが表示されています。

そんなところ,
クリエイティブな良い仕事をするには,無意識に任せてなるべく放置すべし?
なんて記事がありました。

よんでみると,弁護士が書面を作る場合でも,思い当たることもあります。

弁護士が作る書面がクリエイティブかどうか?
なんて思うかも知れませんが,
法律解釈の仕方や
一見関係なさそうだが,実は重要な事実
(推理小説的な,事実発見の部分)
をどこまで,ひらめくことができるか
というものがあります。

そういうものを,もっと思いつけるのではないか?
と思っているうちに,だんだん期日が迫ってきて,
ということはあるものです。

私自身は,このような書面を作る場合は,
まず,早々に手を付けはじめて,
時間があるときに,少しずつ少しずつ
書いていくスタイルです。
そうすると,その日の気分によって
全く違った観点から,ひらめいたり,思いついたりする
からです。
つまり,早めに手を付けないとそもそも放置期間にさえならないので
早めに手を付けて放置期間を長くするということだと思います。

でも,このスタイルは特殊なようです。
書面を作るときは,まとまった時間を作って
ガッと仕上げるというのが
弁護士の通常のスタイルのようです。
ドラッカーも,仕事をするにはまとまった時間を
作ることが大事,と言いますので,
一般的な方法だと思います。

ちょこちょこ,やると,うまくやらないと
そのたびごとに,事件の概要をつかむ作業
等を繰り返さないとないので,
普通だと,時間の無駄が多くて不合理という面もあります。

ただ私は仕事スタイルが特殊で,
1日の間に,30分から,1時間。
調子の良いときでも,1時間半程度,
ある種,覚醒した時間が来ます。

その瞬間だと,キーボードでメモしても追いつかないほど
色々なことが思い浮かんできます。
たぶん,他の人が,1日かけてする量をこなす感じが
この,わずかな時間に訪れます。

が,突如,思考が働かなくなり,全く進まなくなる。
それでも,無理にやると,翌日疲れが出て
数日,この特殊な時間が現れなくなる。
だから,半日まとめて,みっちり仕事をするなんて言う
芸当はできません。

そこで,この短い時間をいかに,つかみ
各事件に割り振るか,というのが大事です。

で,他の時間は,この時間が訪れるのを待ちながら,
疲れないような単純作業にいそしむ

と,まあどうみても,サラリーマンはつとまらない
仕事スタイルです。
(だからサラリーマンをやめたわけですが)

その結果,少しずつ,ちょこちょこ
仕事を進めていくというスタイルになったようです。

もっとも,あまり一つの事件に,この時間を注ぐと
論理構造が複雑になりすぎたりして,
自分としては完璧なつもりが,
人に伝えるには難解すぎる状況になることもあるので,
完璧を目指さず,ほどほどにエネルギーをそそぐ
ほうが,今のところ結果が良いようです。

教養

月曜日, 7月 16th, 2012
日経新聞の一面で
人材育成 企業が注目の大学 国際教養大 首位に
とのことです。
さらに、主要企業の人事トップが大学教育に求めるものは
「教養教育の強化」
が1位とのことです。

少し前までは、大学教育に社会に出てからの即戦力的な
知識を求めていたような気がしないでもないですが、
主要企業の人事トップ、つまり企業人としての上位層が
現代の若い世代に対して教養の不足を思うのは
そうだろうな、と思います。

私自身は、自分より多少上の世代よりは、はるかに劣るのかもしれませんが、
幸運にも、教養教育は、同世代の中では、かなり受けていると思います。

まず、高校が県立高校 だったため、理科社会を幅広く授業を受けています。
理科であれば、生物全部と、物理・化学・地学の半分を学んでいます。
社会であれば、日本史・世界史・地理・倫理・政治経済といったたりもひとおとり学んでいます。
これが、いわゆる中高一貫の受験校だと、受験対策を優先するために
私が学んだことの半分以下しか学んでいないことが多いようです。
たとえば文系であれば、物理や化学は全然知らないということも普通です。

また、大学受験も東大受験は、社会2科目の6科目の受験をしなければならないので
私学の3科目や、通常の国立大の5科目程度に比べると、
教養を身につけざるを得ません。
やはり、受験科目は授業を受けただけの教科に比べると、気合が違いますから
かなり濃く理解します。
なお、高校での授業科目というのは、ある意味教養の基礎をなす部分です。
教養とは雑学ではなく、一定の学問化・理論化された体系的知識です。
そういったものの、もっとも基本的な部分を高校の各科目で学びます。
少し前に、B型肝炎訴訟の関係で遺伝子について改めて理解しなおす必要があったとき
友人の生物学者に何を読むとよいか聞いたところ、
高校の教科書が、学者間の共通理解の基礎となる部分で、とても優れているから
お薦めといわれましたが、各科目とも、高校の教科書というのはそういうものだろうと思います。

と高校の授業の有用性について、えらそうに書いていますが、実際には、全く聞いていなくて
試験勉強だけでした(でも、試験勉強をすれば、結局学べます)。
で、聞いてなくて何をしていたかというと、文学史にでているような本をひたすら読んでいましたので、
いわゆる文学史上の名作の類は結構読んでいます。
(授業中に漫画の類を読んでいるととりあげられるが、名作の類だと黙認される面がありました)

さらに、大学では哲学を中心に勉強し、当時は、西洋哲学史の講義くらいは
できるだろうという気分でした。
大学卒業後、不動産鑑定士の受験機会があり、経済学、会計学を学ぶ機会を得ました。
(これも試験なので、かなり濃い密度で理解しているはずです)

というわけで、ありがたいことに、おそらく同世代では、色々な学問が、おおよそどういうものか
等にふれる機会があったと思います

で、私の交友関係というのは、大学関係だったり法曹関係だったりで、
世間的にはいわゆる、かなりのエリート層のはずなのですが、
その会話の中に、上記のような教養が必要とされる会話は、ほとんどありません。
つまり、教養がなくても、困ることは、まずありません。

それは、単にその話題を避けているのではなく、端的にそういう教育を受けていないことにあります。
高校で、十分に理科や社会を学んでいなかったり、文学はほとんど触れていなかったり、
文系学問でも自分の学部系以外のことは、教養の講義でざっと聞いただけだったり
現状、同世代のいわゆるエリート層といわれる人の現状はそんなところと思われます。
一度、刑事事件で、基本的な物理法則上、ありえないような主張を検事がし、
その不合理を指摘したところ、判決では、事故時には様々な不可思議な力が働くので、
なんて書いてあったりして、そういう意味でも、法曹界の教養のなさも危険水準にあります。

私は、外人との接触はほとんどないので実感はないのですが、
外人のエリート層は、その会話の共通基盤としての教養があるという
話は、ちょこちょこと聞きます。
でも、日本には、あまりそういった雰囲気は感じません。

まあでも、本日日経新聞1面のメイン記事は、若者が企業に就職できずに
必死になっている話しですから、
企業が教養を重視するようになると、少しは世の中変わるのかもしれません。

インフレと破産・免責

水曜日, 7月 11th, 2012
国の債務が大変なことになっているということで、
消費税をあげるそうです。
でも、きっと全然足りないでしょう。
かといって国民は、痛みを伴う改革はきっと受け入れないでしょう。
大阪の人気者あたりが、うまく、やってくれるのかも知れませんが。

でも、うまい手があると言われています。
インフレです。
インフレで物価が2倍になれば、借金は半減することになります。

江戸の昔、大名は、財政難から藩札の類をどんどん発行し、
藩札の価値がなくなり、どんどんインフレになったと聞きます。

大学の頃、機会があって、経済学を学習したときも
インフレがいかに恐ろしく、それを防ぐために
どうすればよいかが色々書いてありました。

でも、その頃から、デフレと財政危機の時代でした。
もし、日本銀行がどんどんお金を発行して、そのお金を
国にあげて、国の借金を返してあげれば、財政難は解消する。

そうすると、藩札の話と同様、インフレになるけど、
デフレ経済下では望むところ。
インフレになれば、円も安くなるから、輸出産業にとっても願ったりかなったり。

なんではないか、と当時、思って、経済学部でそれなりにまじめに勉強している
友人等に質問してみましたが、 要領を得ませんでした。

きっと、インフレがすごくなりすぎるリスクが強いからなのかなと思いました。

でも、10年ほど前から、同じような見解をマスコミ等でみかけるようになりました。
それほど、デタラメな意見でもなかったようです。

で、見かけるようになると、その問題点もしっかり読むことが出来ます。
インフレになれば、当然、円安になる。
海外のもの、特に食料品が高騰して、日常生活は困窮するだろう。
まあ、そういう形で、放漫財政のあぶく銭を享受した罪を、償うということでしょう。

ところが、ここでまた、分からない点、つまり夢のような手品の可能性があるのではないか。
という気がします。

日本だけが、財政危機でインフレがおこれば、そういうことになりますが、
世界どこの国も、財政危機のようです。
そうすると、すべての国で、同程度のインフレが起これば
円だけ安くなるわけではなく、結果、上記の罪滅ぼしの機会もなくなります。
でも、借金は、ほとんどチャラです。

うーん。本当にそういうことになるのか、よく分かりませんが、
もし、本当にそれが実現したとき、
国債自体に信用がなくなって、よほどの高金利でないと
発行できなくなるかもしれません。

そんなわけで、借金できなくなるリスクと引き換えに
一度は、借金をチャラにするチャンスがあるのかもしれません。

まるで、個人の破産・免責制度のようですね。
もっとも、個人の破産免責は、7年ほどすると、再びチャンスが訪れますが。

 

画像の検索

水曜日, 7月 4th, 2012
グーグルによる画像による検索が賢くなった
というニュースがありました。

テキストで検索して、検索結果として画像が出る
というのは普通の話です。

「アミガサタケ」と検索窓に入力して
画像検索結果としてアミガサタケの写真がいっぱいでてくる
というものです。

でも、アミガサタケの写真をもとに、
それに関連する情報が出てくるというのは
なかなか難しいようで、それが進化したということのようです。

これがもっと進歩すれば、樹木だ、野鳥だ、キノコだ
といったものを覚えなくても、スマートフォンで写真を
とって検索すれば情報がでるということになるのでしょう。

樹木や野鳥であれば、そのうちできそうな気がしますが、
キノコはなかなか、難しそうです。

キノコを同定する上では、単にみかけ、つまり、色や形だけでなく
どの季節か
どこに生えていたか(標高や周りの木の種類)
もろいか、ゴムのようか、等の触った感じ
におい
ちょっと噛んでみて苦いかどうか
なんて、ことを含めて考えています。

ですから、画像だけで、しっかり同定しようと思うと
見た目の違いについて、もっと徹底的に研究する必要があるかもしれません。

そういえば、友人の学者が、画像認識の研究をしているようです。
冗談で、車の後ろにつけておいて、覆面パトカーらしきもの、つまり
クラウンらしきセダンで
地元ナンバーで
中に複数の人が乗っていて
青い制服を着ていて
なんて、あたりの幾つかにあてはまる車を認識したら
警告を出す装置を作ってくれ、
と頼みましたが、駄目でした。

でも、画像認識の技術が進歩したら
間違いなく商品化されそうです。

 

水曜日, 6月 27th, 2012
この時期になると、色々株主総会のお知らせだとか、報告だとか
がワラワラと自宅に届きます。

自分の買った株の大半が、今より平均株価が倍くらいだった頃
に購入したもので、巨額の含み損を抱えて、
塩漬け状況になっているからではありませんが、

株をしっかり運用すれば、それなりに儲かると
考えている人が、沢山いることには、驚きを感じます。

以前に読んだ記事では、株に投資する投資信託のうち
インデックスファンドより運用成績が良かったのは
3割だか4割だったとのことです。

インデックスファンドというのは、平均株価に応じて
機械的に購入するものです。
そこに工夫や研究の余地はありません。

3割だか4割の残りがどうだったかの記載はありませんが、
どうせ
4割インデックスファンドより運用良
2割インデックスファンドとほぼ同等
4割インデックスファンドより運用悪
というあたりだろうと推測されます。

インデックスファンド以外のものは
当然個別銘柄を研究して購入するのでしょうから、
インデックスファンドと同程度の運用成績では
研究するだけ無駄ですし、
それより運用成績が悪いのでは話になりません。

わざと運用成績を落としているということもないでしょうから、
個別に見ると、色々工夫してよい運用成績をあげているように
みえることがあっても、
全体としてみれば、機械的に購入するのとトントン
というのが実情だろうと思います。

こういう事情を考慮すると、うまくいっているのは
偶然であると考えざるを得ない気がします。

もちろん、投資信託には、プロが運用するから
素人運用よりうまくいく
という以外にもメリットが沢山あるので、
意味がないということは、もちろんないです。

分業の果て

水曜日, 6月 13th, 2012
ふと、コンパクトなデジカメが欲しくなり、いろいろ調べて買いました。
デジカメも、センサーは○○製、レンズは○○製と色々なメーカーが
作ったものを組み合わせて作るのが、通常のようです。

パソコンも、CPUだ、メモリだ、ハードディスクだ液晶だOSだと色々なメーカーが
作ったものを組み合わせて作ります。
携帯電話もそうでしょう。

車も、トヨタや日産が作るのは、ボディーとエンジンで
タイヤや、オートマ機構やバッテリー等は、別のメーカー製が通常で、
最近は、エンジンも別から調達ということも、増えてきているようです。

そんなわけで、工業製品については、合理化の果てに、
部品ごとの極端な分業化が進んで、
その結果、高性能で低価格なものが
手に入るようになっているようです。

サービス業なんかは、どうなのかと思いますが、
以前読んだサイゼリアの仕組みは、
かなりすごいものがありました。
もっとも、他社との分業は、工業製品ほどは
進んではいないようです。

さて、弁護士業も、そんな風にできるのでしょうか?
おそらくは何らかの標準化が必要なのでしょう。
それぞれ別のメーカーが作った部品が協同するためには
その部品間のコミュニケーションが標準化されている必要があります。

当事務所でも、色々試みていはいますが、まだ先はみえない状況です。
大規模な債務整理中心の事務所は、ある種の標準化や
大量処理が行われているようです。
でも、これは、工業製品で言うと、せいぜいフォードによる
流れ作業による大量生産というレベルのことだと思います。
現在の、工業製品の分業で行われているのは、
各分業項目を担当するのは、どれも世界でトップレベルの
メーカーです。
これを弁護士仕事に当てはめると、法律相談、書面作成、相手との交渉
裁判所の説得といった、各段階について、トップレベルの
実力の持ち主が担当するということになるのかとも思います。

医療現場での分業は、よく分かりませんが、麻酔だ執刀だと
分業しているのは、このイメージに近いのかもしれません。

まあ、そう簡単にいく話ではありませんが、色々、挑戦していきたいと思っています。

弁護士費用と利益相反

木曜日, 6月 7th, 2012
弁護士費用を,どのような料金体系にするのか?
とても悩ましくて,とても大事な問題です。

変な料金体系だと,弁護士と依頼者との
利益相反を起しかねないからです。
弁護士費用は,依頼者と弁護士の利益が
一致するよう定めないと,
長期的には,弁護士のモラルが低下するリスクがあります。

たとえば,100万円の請求をする事件があって,
交渉をしていて,相手が100万円を支払うと言ったとします。
でも,裁判をすれば,遅延損害金を含めて105万円回収できるとします。

でも,裁判をすると弁護士にとっては,とても手間がかかり,
仮に増える5万円分全額報酬でもらっても,まかなえないのが通常です。

このときに,裁判になっても追加料金なしという料金体系だと
依頼者にとっては,追加料金なしで5万円増額するので,依頼者にとっては
裁判にするのがベストな選択になります。
でも,弁護士はひたすら手間ばかりかかってしまうのに報酬の増額がない。
そうすると,依頼者には不利だけど,何とか交渉で終わるよう
依頼者を説得しようという誘惑にかられます。
これは,弁護士と依頼者の利益が相反している状況だと思います。

もし,訴訟の場合は追加費用20万円として,料金設定されている場合は
依頼者に対しては,訴訟をすると5万円余分に回収できるが,そのために
20万円弁護士費用が追加でかかるから,交渉でまとめたほうが得だ
と邪心なく,話すことができます。
仮に,依頼者が,損得の問題でなく,裁判で決着をつけたいから
裁判をしてくれと言ったとしても,正当な対価として弁護士費用20万円を追加で
受領するので,弁護士としては,悪い話ではありません。
つまり,依頼者の希望に添う選択に向けて,弁護士は全力で仕事をしやすくなります。

基本的には,弁護士費用は,弁護士側の手間に応じて,しっかり設定することで
弁護士は真に依頼者の立場にそって,話をしやすくなるのではないかと思います。

もちろん,あまり厳密に,手続きや手間ごとに料金体系を設定すると,
料金が分かりにくくなり,依頼者に心理的なストレスを掛けることになりかねません。

そこで,事案の類型によっては,シンプルな料金体系を優先すべき場合もあると思います。

もちろん,そのほかにも,値段設定をいくらにするのかという重大問題もありますが,
価格設定・料金体系の問題は常に検討を要する難しい問題です。