Archive for the ‘債務整理’ Category

自己破産をすると自宅を手放さなければならないか

木曜日, 3月 3rd, 2011
本日は

自己破産の申立てをした場合、
所有している自宅は必ず手放さなければならないか?
について説明します。


(横浜の裁判所での運用、当事務所の見解・手法に基づいて記載します。

他の事務所に依頼している場合や、ご自身で手続する場合に同様になるとは限りません。)


自己破産をすると、通常、自宅を手放さなくてはなりません。

自宅を守りたいときは、

自己破産をするのではなく

任意整理や個人再生の方法で借金を整理します。


しかし、自己破産をしても自宅を手放さずに済む場合もあります。

そもそもなぜ自宅を手放さなければならないかというと

(1)破産手続き上、財産の処分が要求される
(2)住宅ローンをはじめとする担保権者が競売にかける
の2点があります。

この2点について問題がなければ

自宅を手放さずにすむということになります。


(1)破産手続き上、財産の処分が要求されない場合

・住宅ローン等の担保権者の債権額が自宅価値を大幅に上回る場合
・身内等による自宅の価値相当額の援助が期待できる場合
援助が期待できる場合は、この援助を原資に

裁判所や破産管財人と交渉することになります。


・自宅にほとんど価値がない場合
(建物が古く、敷地も借地権で、再建築もできない場合等)


(2)担保権者が競売にかけない場合

・住宅ローンなどの担保権者がいない場合
・住宅ローン等を破産にもかかわらず支払続ける場合
破産者以外に連帯債務者や連帯保証人がいて、

その名義で支払を続ける場合が典型です。

破産者自ら支払を継続してよいかについては、

色々問題がありますので、

具体的状況に基づいて弁護士に相談してください。


もっとも、破産するとなると

借入金は一括で返済することが原則なので

支払を継続できたとしても、

自宅を確保できないこともあります。


・支払をやめているのに、担保権者がなぜか競売にかけてこない場合

ただし、大半が担保権者の意向次第、

裁判所の意向次第という部分が強いので、

”なぜか競売にかけない”ことを期待して破産するのは危険です。


絶対に自宅を確保したい場合は、個人再生等をすることになります。


このように、自宅を手放さずにすむ方法はいくつかあります。

ただ、自宅があって多重債務に陥ってしまう方の多くは、

自宅を手に入れたことで発生する

住宅ローン、固定資産税、管理費等の支払いが苦しくなり

それが借金の根本的原因のことが多くあります。

このような場合は、自宅を手放さない限り問題の抜本的な解決にはなりません。

また、自己破産をするつもりでありながら

自宅を守りたいばかりに、自宅の名義をほかの人に変更したりるすると

「財産隠し」ということになり

破産法上の制裁(免責不許可や刑事罰)がありますので、注意が必要です。


なお、破産する際自宅を処分しなければならないと言っても、

手続きを弁護士に依頼したらすぐに出て行かなければならないわけではありません。

通常は、競売手続で買い主が決まる頃までは住んでいられます。


ただ、弁護士によっては、自己破産申立て前に自宅を処分する方針をとることもあります。

当事務所では、家賃が節約できるので、競売を待つことが多いですが

どちらの方法が適しているかは

それぞれのご事情を考慮したうえで決定しています。


「自己破産を考えている」

「借金を整理したい」

とお考えの方はお問い合せ下さい。

事務所にお越しいただいての無料相談を受け付けております。

またお電話での無料相談も受付中です。

判例タイムズ1338号「過払金返還請求訴訟における実務的問題」

月曜日, 2月 28th, 2011
新しいの判例タイムズ(1338(2011年3月1日)号 )が届きました。

本号の特集記事は

過払い金についての様々な問題についてでした。

以前(1306号)にも同様の特集がありましたが

今回はそのときに採り上げられなかった論点について、

東京高裁の裁判例を中心に

東京地裁の裁判官が検討したものが記事になっているようです。


記事のなかで大きく論じられているのは

”悪意”と”別会社への過払い金の承継”の2点です。

”悪意”については

10年にわたって債務整理や過払い金回収の仕事をしている感覚からすると、

「悪意があるに決まっているだろう!」
としか言いようがないのですが

(いわゆる最高裁判所平成18年1月13日第二小法廷判決以前も、

一部の商工ローンを除いて、

まじめに「みなし弁済」を主張してくる業者等ありませんでした)

その感覚を裁判官がどこまで共有できているのか、興味深く読みました。

また、現在最もホットともいえる別会社への過払い金の承継

(プロミス・タンポートが典型)も色々な会社の事例を検討しています。


高裁レベルで判断は分かれているのですが、

その点を

「実質的側面にどの程度ウェイトを置くかの違い」

と分析しています。

つまり

「事案をざっくりとらえれば、プロミスが責任を負わないのは変」

と考えるか、法律上の理屈を重視するかの違いです。


当事務所では、過払い金に関する無料電話相談を実施しております。

「過払い金を回収したい」
「ずっと以前に返済が終わった会社から過払い金を回収できる?」
「まだ返済中だけど、もしかしたら過払い金が発生しているかも?」
などのご質問に、弁護士がお答えします。

お気軽にお問い合せ下さい。

自己破産すると車を手放さなければならないか

水曜日, 2月 16th, 2011
本日は

自己破産の申立てをした場合、

所有している自動車は必ず手放さなければならないか?

について説明します。

(横浜の裁判所での運用、当事務所の見解・手法に基づいて記載します。

他の事務所に依頼している場合や、ご自身で手続する場合に同様になるとは限りません。)


自己破産をするとき、

所有の車を手放さなければならない場合と、

手放さずに済む場合があります。

手放さずに済む典型的な場合は、

自動車ローンの負担がない、古くて価値のない(20万円が目安)車である場合です。

では、この条件に該当しない車はすべて手放さなければならないかというと

そうでもありません。

そもそも車を手放すことを要求してくるのは

・自動車ローン会社
・裁判所(または破産管財人)
です。

この2者への対応次第で、車を手放さずに済む場合もあります。


その手段について、以下で詳しく説明いたします。


(1)自動車ローンの会社

車のローンを組んでいる場合、

ローン会社は、車を担保にとっていることが多いので、

自動車ローンの支払をやめると、車の引き揚げを要求してきます。

ですから、通常は自動車ローンを組んでいて、ローンの残が残っている場合は

車は手放すことになります。


逆に、そもそも自動車ローンを組んでいない場合や、

自動車ローンを組んでいても担保になっていない場合
(銀行等での自動車ローンの場合には担保にとっていないことも多い)

は、自動車ローン会社は引き揚げを要求してきません。

また、自動車ローンが残っていても、ローンの支払を継続すれば、

自動車ローン会社は引き揚げを要求してこないことが多いです。

(破産手続をするとなると、通常、ローンは一括弁済になりますが

事実上、そのような要求をしてこないことに期待する方法なので

引き揚げを確実に防げるわけではありません。)


ただ、破産手続をとる以上は、自動車ローンの支払を継続することは、基本的にはできません。

もっとも、自動車ローンに保証人がついている場合は、

自己破産の申立てをする人ではなく、保証人が支払いを継続するという方法があります。

では、もし保証人による支払いも不可能な場合は

車を手放すしかないのでしょうか?

このような場合には

・保証人ではない身内等に自動車ローンの支払を継続してもらう

・本人が自動車ローンの支払を継続しながら、自己破産の申立てをする

という手法が考えられます。


このような手法は、破産の手続上問題が起こるおそれもありますので

それぞれの事情を考慮し、

担当の弁護士が、その妥当性を

裁判官や破産管財人に対して説明・説得しきれるかという判断が必要です。

ですから、担当の弁護士と十分に話し合って方針を考える必要があります。


(2)裁判所(または破産管財人)

破産手続とは、破産した人の財産を処分して、債権者に配当する手続です。

ですから、基本的には、”自動車”という価値あるものを持っている場合は

それを手放してお金に換え、債権者への配当に回さなくてはなりません。

ただ、車の処分にかかる手間から考えて

それほどの価値のない場合は、処分しなくてもよいことになっています。

その目安は20万円です。

業者に査定をしてもらって、査定額が20万円以下の場合

処分の必要はありません。


さらに、その自動車が登録後6年を経過している場合は、

20万円以下だというということで、査定の見積書の提出も不要とされています。

(高級車である場合など、車種によっては

登録後6年以上経過していても見積書が必要となります。

また車種からして見積書の額に疑問があれば、よりしっかり調査することになります。)


上記に該当しない車であっても手放さずにすむ方法として、

まず、自由財産拡張という手続があります。

破産管財人や裁判所に対して

「財産価値があるけれど、破産者の経済的更生等のために是非とも必要なので、

処分しないでくれ」と説得する手続です。

自由財産拡張は、横浜では、なかなか認められないといわれていますが

当事務所では、できる限り自由拡張財産を主張しています。


自由財産拡張の主張が不可能である、

またはそもそも要求しにくいような場合は、

車の額相当額を、破産管財人に支払って、それに免じて車を確保するという交渉があります。

破産手続上、車を処分しなければならないのは

その額相当額を配当しなければならないからです。

ですから、別途その額を用意できれば、敢えて処分しなくてよいとも考えられるので、

そのようにして車の確保を目指す方法です。


このような手段は、個々の事情を考慮し

担当の弁護士が、その妥当性を

裁判官や破産管財人に対して説明・説得しきれるかという判断が必要です。

ですから、担当の弁護士と十分に話し合って方針を考える必要があります。


このように、車を手放さずに破産手続する方法はいくつかあります。

ただ、車を持つことによる経済的負担はかなり大きいので、

自己破産することで生活を立て直しをはかる場合には、

まず車が本当に必要なのかを考えなければならないと思います。


「自己破産を考えている」

「借金を整理したい」

とお考えの方はお問い合せ下さい。

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過払い金と相続

木曜日, 12月 16th, 2010
今日は、亡くなった方の過払い金の回収方法について書きます。


まず、亡くなった方に、

亡くなった時点で借金が沢山あった場合

相続人は相続放棄を考える必要があります。

相続放棄をすれば、借金を免れることができます。


しかし、もし亡くなった方の借金に過払い金が発生していたとしても

その過払い金の権利も失ってしまいます。


過払い金の権利を失わないためには、限定承認という手続があります。


限定承認を利用すれば、

過払いと借金を考えて、過払い金の法が多ければ、

プラス分をもらうことができ、

借金のほうが多ければ、

返済する必要が無くなる、という便利な制度です。


ただし、限定承認

手続が複雑なので、弁護士に依頼することをおすすめします。

過払い金の回収と限定承認の手続、

両方を同じ弁護士に依頼したほうが

スムーズに手続できますので、相続と過払い金回収、双方に通じた事務所がおすすめです。


ただ、相続放棄限定承認

基本的に3か月の期間制限があるので

期限を過ぎてしまうと、利用することが出来ませんのでご注意下さい。


次に、既に相続放棄限定承認の期間が過ぎてしまった場合や、

過去に返し終わった借金について過払金を回収する場合についてお話します。


相続人は、亡くなった方の過払い金も相続するので

業者に対して、過払い金を請求する権利があります。


ただ基本的には、相続人全員で共同して請求することになります。

業者によっては、

裁判までしないでも返済してくるところもありますが、

最近では、裁判手続を経て請求しなければならないことが多いです。


もし相続人全員の協力が得られない場合は、

一部の相続人だけで、自分の持分相当だけ請求(分割債権の原則)できる可能性が高いです。


法律上は、過払い請求権に分割債権の原則が適用されるかどうかの問題で、

おそらく適用されるという結論になると思いますが、

業者側が争ってくる可能性があります。


また、履歴の開示がスムーズに行かない可能性もあります。

この点も、預金の履歴開示に解する最高裁判所の判断からすると

「1人の相続にからでも開示すべき」
となりそうですが、業者側が争ってくる可能性があります。


このような事情があるので、

できれば相続人全員で請求したほうが、面倒は少なくて済みます。


当事務所でも、亡くなった方の過払い金回収のご依頼が相当数あります。


ご自身の借金整理の過程で

「どうしても破産はしたくないが支払原資がない。どうしよう・・・。」

と考えている最中に

亡夫の借金の話が出てきて、

そこから亡夫の過払金を回収し、ご自身の破産を回避した件。


亡くなった方の遺品整理をしていたら、

たくさんの消費者金融の資料が出てきたということで、

ご相談にいらして、調査してみたところ、1,000万円を超える過払金を回収した件。


等の案件もありました。


相続と過払い金回収でお悩みの方、

一度ご相談にいらしてみてください。

当事務所の相続に関するご相談はこちらをご参照下さい。

当事務所の過払い金回収に関するご相談はこちらをご参照下さい。

クレジットカードのショッピング枠を現金化(フジテレビ「スーパーニュース」)

金曜日, 12月 10th, 2010
昨日放送のフジテレビ「スーパーニュース」で

クレジットカードのショッピング枠を現金化する業者(現金化業者

の話題がとりあげられていました。


現金化業者)とは、

”クレジットカードのショッピング枠を現金化します”
とうたっている業者です。


その方法はというと、

顧客に換金性の高い商品をクレジットカードで購入させて

業者に送付させます。

受け取った業者はその商品を換金します。

業者は顧客に対して、手数料を差し引いた現金を渡すという仕組みです。

具体的にはこのようなながれになっています。



顧客は、現金35万円を手にしたものの

後日クレジットカード会社からは50万円の請求がくることになってしまいます。


この手の業者は、以前はキャッシング枠がいっぱいで

これ以上借入をすることが出来ない人を相手にしていましたが

今年6月に施行された「改正貸金業法」のなかの「総量規制」

の影響で、借入ができなくなってしまった人の利用が増えているようです。


この「換金」という行為は

買ったものの内容や、返済の見込みの程度によっては

詐欺罪にあたる可能性もある危険な行為です。

この場合、現金化業者だけが詐欺になるのではなく

カードを使った人も詐欺の共犯ですので、注意しましょう。


たとえ詐欺にならなくても、破産手続上の免責不許可事由になります。

破産手続をとると、最終的には免責決定がおりて、借金を帳消しにできるのが通常です。

でも、財産隠しをして破産をした場合など

”一定の場合”には免責(帳消し)にしなくてよいことになっており

その”一定の場合”のことを免責不許可事由と言います。

クレジットカードを利用して購入した物を

安値で換金する行為は、免責不許可事由になる可能性が高いです。


現行の破産制度は、ほとんどデメリットなく借金を帳消しにできる

債務者にとってはとても便利な制度です。

ショッピング枠の現金化は、

その最後の逃げ道を自分でふさぐことになりかねません。

そこまで追い詰められている場合は、まず弁護士に相談してみて

よりよい方法がないか考えてみましょう。


当事務所では、借金に関するご相談を受付中です。

電話での無料相談も可能。

詳しくはこちらをご覧ください。

当事務所の過払い金回収

木曜日, 7月 1st, 2010
「貸金業者から、返しすぎたお金を取り戻す」
これが、過払い金回収です。


当事務所の過払い金回収は、他の事務所とはひと味違います。


そもそも過払い金は、本来なら貸金業者が自主的に返すすべきものですが

実際には、弁護士が請求するなり

裁判を起こすなりしないとなかなか返してはもらえません。

過払い請求を受けた業者の対応は

貸金業者ごとに千差万別です。

ただ、ほとんどの貸金業者に共通して言えることは

はじめから全額返しますとは言わず

全額より少なめの金額を返しましょうと言ってくることです。


ここからは貸金業者ごとに

交渉をすれば全額返すのか?

訴訟を起こさないと返してこないのか?

訴訟を起こせばすぐ返してくるのか?

いたずらに訴訟を長引かせてずるずると結論を先延ばしにするのか?

などと対応が様々です。


そこで、過払い金を回収する際に重要になってくるのが

貸金業者ごとの和解ラインの情報を把握することです。

和解ラインを把握しておけば

無駄な交渉がなくなり、早期解決につながります。


当事務所は、多数の弁護士が所属し

さまざまな貸金業者に対して過払い金回収の実績があります。

蓄積された情報力により、よりスムーズに過払い金を回収することができます。

また当事務所では、弁護士自ら貸金業者と交渉します

この業者はこの程度という安易な交渉ではなく、

かなり強気に、少しでも多く返してもらうよう交渉します。

そして、その情報を事務所内で共有し

次回の交渉の材料にします。


ただ、これだけでは当事務所の過払い金回収が

ほかの事務所と違うとは言い切れません。

最近では、全額またはそれに近い金額を取り返すためには

訴訟をせざるを得ないものも増えていますので

今では過払い金回収のために、多くの弁護士が訴訟を起こしているからです。


では、情報力、弁護士による交渉、積極的な訴訟以外に当事務所は何が違うのでしょうか?

それは、依頼者に随時状況を報告し、入念に打合せを行った上で
方針を決定しているという点です。


合理的に仕事をするなら、全件訴訟、一律和解等がいいのかもしれません。

しかし当事務所では、過払い金回収についても

離婚や相続その他の依頼と同様に

依頼者とじゅうぶんに話し合い、

依頼者の意志を尊重しながら、慎重に処理をします。

当事務所では、過払い回収についても、全く同じです。


例えば金融業者が提示した金額と

裁判することによって返ってくるであろう金額に

5万円のずれがあった場合、

時間がかかっても、訴訟を起こしてでもきっちり返してほしい依頼者もいれば

少しくらい安くてもいいから早く返してほしい返してほしい依頼者もいます。

また、そもそも裁判を起こすなんて

なんだか物騒だからいやだなぁという価値観の依頼者もいるでしょう。

さらにはこの貸金業者には感謝しているから

ちょっとくらいなら金額が低くなってしまってもいいが

あの貸金業者は本当にひどかったから

耳を揃えてキッチリ返してもらうぞという依頼者もいるかもしれません。


当事務所では、このような依頼者ごとの意向をきちんと踏まえたうえで

最善の解決を目指しています。


当事務所の過払い金回収についてはこちらをご覧下さい。

当事務所の任意整理

金曜日, 5月 28th, 2010

本日は、当事務所の任意整理についてお話しいたします。

当事務所の任意整理のこだわりは、次のとおりです。

 

任意整理は一般に

貸金業者から取り寄せた借入・返済の履歴を

利息制限法の制限金利で計算し直して正しい借入残高を算出し

その借入残高をもとに

”遅延損害金や先々の利息はカットする”という条件をつけて

弁護士が貸金業者に対して、返済の金額や方法を交渉します。

 

貸金業者がこの基準で作った和解案にすぐに応じてきてくれるのであれば

どの弁護士に債務整理を依頼しても、結果は同じになります。

 

しかし私の経験から言わせていただくと

すべての貸金業者とすぐに和解できるということは滅多にありません。

時と場合により、和解案をなかなか受け入れない貸金業者が出てきます。

 

冒頭に書いた”遅延損害金や先々の利息はカットする”

という和解の条件は、実は法律で定められたものではありません。

つまりこれは裁判で適用される基準ではないのです。

 

和解交渉がうまくゆかず、万が一貸金業者から裁判を起こされ

その裁判に負けてしまった場合

”遅延損害金や先々の利息を含んだ”借入金を一括返済せよ

との判決がくだり、

給料の差し押さえをされてしまうという事態に陥る危険もあります。

 

だからといって、貸金業者から裁判を起こされることを恐れて

すぐに弁護士が譲歩してしまうのであれば

なし崩し的に不利な和解をすることになります。

 

では、依頼者に有利で公正な和解をするために

弁護士はどうやって貸金業者と交渉すればいいのか?

 

・・・と、これ以上の話は

交渉の相手方である貸金業者がこの記事を読むかもしれないので

企業秘密とさせていただきます。

 

ここで言えることは、任意整理の交渉は

弁護士にとっては胃がキリキリ痛むほど神経を酷使する作業だということです。

貸金業者との和解交渉に一定のルールを定めてしまって

交渉までも弁護士が行わずに事務員任せにすることも可能ですが

当事務所は

依頼者ごとの事情を無視したルールどおりの交渉が

依頼者それぞれにとって一番良い解決方法だとは考えていません。

 

当事務所では、弁護士自ら任意整理の交渉をしています。

法律の専門家で交渉のプロである弁護士自ら

依頼者の状況をふまえ、

貸金業者についての情報を駆使しながら

依頼者にとって最適な解決法を導き出します。

 

依頼者のみなさんに安心してお任せいただける任意整理

私たちは常に目指しています。

当事務所の引き直し計算

木曜日, 5月 20th, 2010
債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)と

過払い金返還請求に共通する作業として

利息制限法での引き直し計算があります。

29%なり26%なりの金利で計算された業者の計算書を

あらためて18%等の法律で定められた金利の範囲で計算しなおすものです。

※詳細についてはこちらをご覧下さい

利息制限法での引き直し計算とは

具体的にどんな作業をしているかというと

業者から届いた返済・借入の一覧表を

計算式の入ったEXCELファイルに

日付・返済金額・借入金額を改めて入力し

法定金利で計算すると借金の残高はいくらになっているかを確認するのです。

利用するEXCELソフトにもよりますが

1回の取引について、年、月、日、金額の4項目の入力が必要になり

1ヶ月に貸付と返済がそれぞれ1回ずつあるとすると

1ヶ月に8項目、

1年で96項目の数字を入力することになります。

それが10年の取引であれば、

1社の引き直し計算でも1,000個もの数字の入力が必要になります。

この入力作業を、事務員がすべて手作業で行っているわけです。

これだけの事務作業ですので、必然的に入力ミスが発生します。

1行抜けたり、1桁間違えたり、

貸付と返済を間違えたり・・・。

ミスがあれば、正確な金額を導き出すことができず

引き直し計算の意味がありません。

ミスがないかの見直し作業も一苦労です。

このように大変な作業なので

引き直し計算を外注に出す弁護士事務所も多くなっています。

しかし、外注に出したからといって、ミスがなくなる訳ではありません。

当事務所も、引き直し計算の精度向上には頭を悩ませてきましたが

現在は以下のような方法をとっています。

1.内部の事務職員2名が、バラバラに同じ計算書の入力作業をする

2.結果が一致するかどうか確認する

この場合、ミスが発生する確率は2乗分の1

すなわち

一人で入力する場合に発生するミスの確率が1,000分の1であれば

2人が同じ場所で間違える可能性は、100万分の1になります。

長々と書き連ねてしまいましたが

ここまで慎重に引き直し計算をしている事務所もなかなかないもの自負しております。

当事務所の自己破産

水曜日, 5月 19th, 2010

近頃、債務整理を宣伝する事務所の中に

「どんな方法で債務を整理しても

結果は同じだから、整理の方法はどんどん合理化できる。

その合理化を実現したので、安い料金で債務整理が可能になりました」

というものをよく見かけます。

 

しかし当事務所は、債務整理の結果は必ずしも同じでないと考えています。

 

今回は、自己破産を例にお話ししたいと思います。

 

自己破産とは

借金を帳消しにするかわりに、価値ある財産も手放す

という債務整理の方法です。

(なお、「価値ある財産」に家財道具等までは含まれませんのでご安心を。)

 

先ほど申し上げた「違いが出る」一例は

破産者にとって必要な財産をどこまで守ったうえで破産できるかです。

 

そもそも破産制度は、破産者を懲らしめる制度ではなく

破産者の立ち直りを目的としています。

 

少し難しい話になりますが、

実質的な差押禁止財産” ”自由財産拡張

といった法的理論を駆使することで

破産者の財産を守ることができるのです。

 

また、破産者の金銭的負担の種類

(キャッシング残、税金の滞納、弁護士費用、裁判所費用)

等の種類と財産の残高などを綿密に調査し

どうすれば破産者の負担を最小限におさえることができるか?

をじゅうぶんに検討します。

 

このような法的主張は必ず裁判所で認めてくれるとは限りません。

しかし当事務所では、このような法的理論に基づいて

裁判所や破産管財人に対し積極的に働きかけ

実際にも相当程度認められています。

 

はじめから

「破産するのだから、財産を手放すことはしょうがないんだ」

と依頼者にあきらめてもらうのは簡単ですが、

それは当事務所の目指すところではありません。

 

もちろん財産隠し等の不誠実な破産申し立てにはいっさい協力しません。

また裁判所に対して

法的に無理な主張をすることもできません。

隠し立ては一切しないなかで

法的主張が可能な事案であれば手間を惜しまずに最大限の努力をする。

それが当事務所が行っている自己破産のスタイルです。