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ノセボ

木曜日, 2月 28th, 2019
本を読むことのメリットのひとつは,今まで自分が持っていなかった言葉が手に入り,思考がより進むことです。

昨年手に入った言葉のひとつは,ノセボです。
ノセボというのはプラセボの逆です。
プラセボは,本来効き目のない薬を効き目があると思って飲むと,本当に効いてしまうというものです。
ノセボは,本来体に悪いわけではないのに,毒かなんかだと思うと,本当に体調が悪くなってしまうというものです。

さっき食べたものが「実は2週間前の残り物だよ」と言われたら急に吐き気がしてきて,本当に吐いてしまうというのがノセボです。

人間の多くの体調不良,心の傷とかそいういったものの多くはノセボなのではないかという気がします。
「また体調が悪くなるのではないか」と心配したり,「体調が悪くなってもおかしくないようなひどいことをされた」と思うと,ノセボによって本当に体調が悪くなってしまう。

人が幸福かどうかのかなりの部分は遺伝によって決まる,つまり,幸福を感じやすい人は過酷な環境でも幸福だし,不幸を感じやすい人は恵まれた環境でも不幸せになるという身も蓋もない調査結果もあります。
おそらくはプラセボやノセボは,素質的な幸福感や不幸感の基礎の一つなのだろうと思います。

現在の司法の運用がそうなっている以上,当事務所もそれに即した仕事をしていますが,個人的には心の傷のような得体の知れないものに国家権力が振り回される,つまり心の傷の程度というものを裁判所が認定してそれに賠償を命じるというのは,極めてオカルト的なので,いかがなものかと思っています。
ノセボの研究が進み,この人が苦しんでいるのは遺伝的なものであって,ノセボ現象によって体調が悪くなっているのですということがわかるようになると,そのあたりが変わってくるかもしれません。