Archive for the ‘弁護士勝俣豪の雑感’ Category

美学とモラル

水曜日, 5月 11th, 2011
震災後の非被災者の,色々な行動の報道をみていて,大学の頃に考えていた,美学と道徳の問題を思い出しました。

自分はこうすべき(例えば「旅行は自粛すべき」)という,考えについて,個人の生き方美学の問題と,道徳(モラル)の問題とは分けて考えることができます。

美学の場合,他人がどうするかは問題となりません。

道徳として語られる場合は,「他人も同じようにすべき」という含意があります。

宗教的な背景がなければ道徳であっても何ら強制力はない

つまり,非道徳的であっても,何ら罰はない。

ので,美学と道徳の問題は区別がつきにくいのです。

ただ,道徳の場合は「他人も同じようにすべき」とする以上,

皆がそのような行動をとった場合にどうなるか

ということは,考えざるを得ません。

そうすると,例えば皆が自粛→経済が縮む→被災者支援もままならない

ということが本当だとすると,自粛という行動は,道徳的にはいかがなものか?という可能性が出てきます。

もちろん,酷い目にあっている人がいるのに,誰も自粛的行動をしないような非人間的な社会は耐えられないという価値判断をすると

やはり自粛は道徳的に正しいということになります。

寄付についても同様です。

サラリーマンは別ですが,事業家は寄付などせずに,その額を事業に投資すれば,

よりおおきな経済活動を生み,寄付金額よりはるかに大きい納税額を生み出す可能性があります。

つまり,「事業家は寄付をすべき」というルールが一般化するより,「事業家は事業に投資すべき」というルールが一般化したほうが

被災者支援に役立つのであれば,後者のルールが道徳的に正しいかもしれない,ということになります。

なんて,まさに書生っぽいことを学生時代は,考えていましたが,

最近は『これから「正義」の話をしよう』なんて本が話題になっていますので,世の中この手の話題に興味がないわけではないようですね。

現実の紛争を扱っている今の仕事に役に立っているのかどうか?は依頼者の方に判断してもらうしかないかも知れません。

 

国産品は本当に優れているのか?

火曜日, 4月 26th, 2011
今回の地震をきっかけに、

日本製の部品が手に入らなくて世界的に影響が出たり

放射能の恐怖で、日本からの輸出物の禁輸や検査があったり

ロボット技術が優れているはずなのに、原発事故であまり活躍していないようだったり

と色々、国産ということを意識する機会がありました。

さて、日本人は舶来モノ好きなんて言われてもいたようですが、いつしか世の中には国産品信仰が蔓延していたようです。

車であれ、家電製品であれ、日本のものは世界的にもっとも優れているような、そんな気分があったような気がします。

でも、それこそが宣伝の効果?

日本のメーカー各社は、直接的なCMや、大手スポンサーに逆らえないマスコミによる間接的な報道によって、

消費者に「日本製品は舶来品より安くて品質もよい」という常識を植えつけてきたのではないか?という気もします。

私自身は、珍しい物好きなので、家電や車、家具、子供用品を含め、海外のものを色々試して使ってみていますが、

なかなかよい物も多く(もちろん、駄目なものもある)、「さすが!」という思いもしています。

他方で、テレビで大々的に宣伝している某国産家電メーカーの某電化製品で、相当程度の不具合を感じています。

すくなくとも、国産品が図抜けてすぐれているということはないという気がします。

いずれにしろ、日本では、商品についての、真っ当な批判・評価をする媒体が『通販生活』くらいしか思い当たりません。

そして、そのような真っ当な批評が育たない大きな理由は、民法刑法の名誉毀損等の解釈にあるような気がします。

軽い気持ちで、製品の悪い点を指摘すると、下手すると法的な問題が生じかねないからです。

そういう意味では法律家の責任も大きいのでしょう。

 
 

SONYのREADER

月曜日, 4月 18th, 2011
昨年に、仕事用のPDF閲覧端末としての利用可能性を求めて、ソニーの電子ブック閲読用端末、リーダーを購入しました。

PDF閲覧端末としては、動作、特に拡大縮小が遅すぎて使い物になりませんでした。

でも、本来の使い道である読書用端末としては、なかなか優れものであることが分かってきました。

まず、なんと言っても、電子ペーパーを利用しているので、パソコンやスマートフォンの類と比べて、

目が疲れません。

紙の本と同じくらい、読んでいられます。

また、山小屋にいたり、自宅にいたりして、ふと本を買いたくなったときに、

パソコンとインターネット環境さえあれば、本を購入できます。

手持ちの本の中に、そのときの気分にあった本がないときに、とても便利です。

また、軽く読んでみたいと思い購入した本が、最近、我が家の狭いスペースを大分占拠していて

このことが、本を買うことを抑制する力になっていました。

でも、電子書籍は、場所をとらないので、気軽に興味がある本を買うことができます。

ただ、購入できる本が、わずかしかないので、

今後、もっと増えていってほしいと思います。

ところで、ソニーには以前PDAで裏切られています。

PalmというOSでソニーはCLIEというとても優れた機種を販売し、

他社のPalm端末を市場から駆逐したとたんに、思うように売れないからと、CLIEも販売中止。

仕事の道具として長く使うことを期待していたのに、ハシゴをはずされた気分になったことがありました。

Readerは、多少、思うようにうれなくても、すぐに撤退せずに、

10年単位くらいの長期的視点で、地道に販売していってほしいと思います。

白熱電球

火曜日, 4月 12th, 2011
環境云々の流れの中で,白熱電球がなくなってしまうそうです。

燃費が悪いし,寿命も短いしということのようです。

でも,本当にそうでしょうか?

自宅のリビングは,調光器のついたスイッチにクリアの白熱電球を付けています。

まず,燃費ですが,白熱電球は調光器を使って暗くできます。

蛍光灯で薄暗いと,なんともひもじい雰囲気ですが,白熱電球で暗めにすると雰囲気がよくなります。

特にクリア球を使うと,ロウソク調,ランプ調,現代調と雰囲気を変えてくれます。

で,本や新聞を読むとき以外は,それなりに暗めにしていますので,コウコウと蛍光灯を付けるのに比べて,本当に電気を食ってるのかな?

と思います。

また,寿命ですが,確かに,クリア(透明)でない白い普通の白熱電球の時は,しょっちゅう,球が切れて,代えていました。

ところが,クリア球に代えたら,よく持ちます。少なくとも白いのに比べて数倍は持っている気がします。

クリアだと,中が見えるのできっちり作り,白いのは中が見えないから耐久性が低いのか,それとも別の理由があるのか分かりませんが,

クリアの白熱電球はよく持ちます。

ですので,同じ明るさで付けた場合で蛍光灯と比べたら燃費で負けるでしょうし,

白い白熱電球の寿命は確かに短いのですが,

調光器を付けて暗めで,クリア白熱電球を使えば,問題ないのでは?と言う気がします。

もちろん,LEDにはかなわないと思いますが。

文献学と弁護士仕事

日曜日, 4月 3rd, 2011
私は、大学時代に文献学の訓練を受けました。

文献学は、昔の文献から色々なことを読み取る学問ですが(歴史だったり、文学だったり)、

私が、訓練を受けた文献学は哲学の文献研究です。

哲学者が残した文書から、行間を読むのは当たり前で、1つの表現から百のことを読みこむような発想をします。

なぜ、あえて、このような単語を用いたのか?

この二つの似た言葉の意味は同じか、別か?

あえて、ここであることに触れないのは、何故か?

とか、ありとあらゆる観点から分析していって、哲学者の真意を読み取ろうとします。

哲学者になりたくって大学に進んだ私としては、

自分の哲学を作るのではなく、誰かさんの哲学の研究者の道へ続く

文献研究は反発を感じました。

でも、作業としてはパズル的に面白い部分もあり、何らかのものは吸収したようです。

その後、めぐりめぐって、弁護士になりましたが、実は、この文献学的な訓練が役立っています。

文献学の発想では、文献実証主義なんて言ったりして、文献に根拠がないことは、何を言っても相手にされないような傾向があり、

そのために、上記のような深い、深ーい読み込みが行われます。

翻って、今の民事裁判。裁判所は書類に残った証拠が中心で、それ以外で何を言ってもなかなか通じにくい現状があります。

そこで、文献学です。書類を徹底的に分析します。

なぜ、あえてこのような文言を用いたのか?

この二つの似た言葉の意味は、同じか、別か?

通常あるはずの文言が、なぜ省かれているのか?

等等、契約書、通帳、決算書等の定型的な文書をはじめ、ありとあらゆる文書を徹底的に分析する習慣がついているようです。

弁護士仕事自体は、色々なことが要求される仕事ではありますが、

もっとも社会から隔絶された営みともいえる、文献研究の訓練が役に立つとは、面白いものです。

原発事故と科学オカルト

土曜日, 3月 26th, 2011
原発事故がなかなか、おさまりません。

水道水の買占めがあったり、タクシーの乗車拒否があったり、目に見えないものに対する恐怖で、軽くパニックになっているようです。

でも、今言われている危険性なんていうのは、将来において、ほんのわずかだけ、癌になる可能性が高まるかも、というレベルの話です。

しかも、とりあえずは、その産地のほうれん草を食べなかったり、乳幼児でなければ、その危険さえないはずです。

政府も専門家も口をそろえて、そんなに騒ぐほどのことでないと言っていますが、なかなか納得しない人もたくさんいるようです。

確かに、専門家が安全だと繰り返した原発があのザマでは、専門家の言うことはアテにならんというのもわかりますが。

それにしても、ここまで大騒ぎになってしまうのでは、政府は国民の全体的な安全のためには情報統制をしたほうがよいのではないかと思いかねません。

でも、もとをただせば、過度な健康志向、清潔志向、安全志向が、今回のパニックの遠因のような気がします。

タバコの副流煙が危険だとか(真っ黒な肺の写真をみせて・・でも、囲炉裏端で生活していた人の肺も同様だったのではないだろうか?古民家の梁も真っ黒だし)

紫外線が健康を害するとか(モグラではあるまいし。太陽光が有害光線だなんて。美白の敵にはなるかもしれませんが)

ばい菌は危険だ除菌・除菌(成人の体表には1兆程の微生物(ウィルスも含む)がいるのが通常だそうです。でも普通は病気になりません。抵抗力が弱っている病人は別でしょうが)

なんて言い出せばきりがないほど、ほとんど目に見えないものを怖がってきました。

そんな神経過敏にさせられた人にとって、放射能だ被曝(被爆ではない)なんていうのは、耐えられない恐怖になってしまうのもやむをえないのかもしれません。

必死になって守ってきた、健康の確率がわずかでも低下することになるのですから。

でも、古来、人間は目に見えないものを不合理におそれて、騒いできました。

そうすると、この種の科学オカルトも、人間の文化の一部なのかもしれません。

薪と化石燃料と原子力

火曜日, 3月 22nd, 2011
今回の震災による原子力発電所の事故により,今後の原子力利用について,大きな議論が起こるものと思います。

かといって,化石燃料を燃やし続けると,CO2だ地球温暖化だという問題もあるようです。

では,薪なんてどうでしょうか?

ところが,これがなかなか大変で,化石燃料や原子力の偉大さがわかります。

寒冷地の山小屋を薪ストーブであたためると,一日中(起きている間の16時間)で,5~6束薪を使う感じです。

買うと1束400円から600円で,1日2000円から3000円。

自分で丸太を手鋸で切って,斧で割る作業だと,5~6束作るとかなりへとへとです。

少し化石燃料の力を借りて,チェーンソー使うともう少し楽ですが,やはりそれなりに大変です。

1日5,6束の薪を数ヶ月分おくだけで,500束くらいの量になるので,置く場所だって困ります。

次に化石燃料。薪一束程度の容量の灯油があれば,ストーブだってかなり持ちます。

正直,薪を作るのに必要な化石燃料(運搬用のトラックの軽油,チェーンソーのガソリン等)で,薪による暖房がまかなえてしまうのでは,と思うほどです。

で,原子力,1cm程度のペレットで一般家庭の8か月分もの電力をまかなえるそうです。

危険があっても,原子力を推進したくなるのも分かる気がします。

そんなわけで,原子力の代替というのはなかなか難しそうですので

省エネ方向にするしかなさそうです。

実は、薪ストーブも家全体を暖めようと思うとたくさん薪を使うのですが、

薪ストーブの戸を空けて、ストーブの周りだけ暖めようと思うと、かなり薪が持ちます。

そんなわけで、コタツのような暖房が見直されるのかも知れません。

民主主義?

金曜日, 2月 25th, 2011
中東での民主化運動が続いています.。

日本でも、総理大臣はまた変わりかねないという状況です。


「マニフェスト違反だ!」などと言って

総理大臣を糾弾する人がいます。

国のリーダーを民主的手続きのよって選んだ以上は、

そのリーダーが仕事をやりやすくするよう支えるのが

選んだ側の基本的な責務だと思うのですが、

なかなか、そうはいかないようです。


日本の総理大臣は

就任早々、些細なことを問題にして騒ぎ立てられ

支持率がどうのとうことになって、

結局辞任に至る、ということが繰り返されています。


体が丈夫で、熱意があって、漢字がしっかり読めて、

言っていることが一貫していて、しかも政治資金的に潔癖で・・・

なんて人は、探してもきりがないと思います。

子供手当と児童手当、高速道路の料金、郵便局のあり方、年金のあり方なんて、

実際にやり始めてみないと、”本当に優れた方式”なんて分かるはずもないことです。


現時点で何が正しいか分からないことについての意見の違いで、

いちいちリーダーを代えていてどうするんだろうという気がします。

仮に、衆議院解散総選挙になるとしても、

その前に、自民党と民主党で

「衆議院で勝った方の政策を基本的に支えていくこと

(参議院は衆議院の判断を尊重すること)」

に合意した上で解散してもらいたいと思います。

リゾート会員権(岡本ホテル詐欺)事件

水曜日, 2月 9th, 2011
「岡本ホテル グループ元オーナーら逮捕 組織的詐欺容疑」

岡本ホテルというリゾート会員権が、

そもそも詐欺だったのではないかとの疑いで、警察の捜査がすすんでいます。


岡本ホテルは、少し前まで色々なところで広告が出ていたような気がします。

平成20年には、岡本ホテル同様大々的に広告を打っていた、

リゾート会員権のパルアクティブ株式会社

民事再生という倒産手続をとっています。


私も以前、東急ハーヴェストというリゾート会員権を持っていた時期がありました。

その頃東急ハーヴェストは、

毎年結構な金額の維持費がかかるし、毎回の利用料も必ずしも安くないのに対して、

岡本ホテルパルアクティブのように広告でよく見かける施設には

無料宿泊券があったりして随分安くて、すごいなあと思っていました。

しかし、東急から報告される積立金の使途(今回は、○○を取り替えました等)をみたり、

物件全体の維持コスト、従業員の給料等を考えると、

東急ハーヴェストの金額が不当とも思えませんでした。

当時は「安いところは、きっとろくでもない食事が出たり、

掃除が行き届いていなかったりするに違いない」なんて考えていました。

しかし実際は、食事や掃除云々の問題ではなく

それどころか、そもそも成り立たなくて倒産してしまったり、

詐欺だったりというわけで、なかなか大変です。


特別な権利を持っている人は、

普通の人が持っていない得な思いができるに違いないという潜在意識に働きかけるので、

びっくりする程お得で、

普通ならどこかおかしいのではと疑うような事でも

不信感が生まれないのかも知れません。


本当は、車や不動産と同じで、会員権も

持っていればお得どころか、それに伴う経済的な負担はそれなりに大きいのです。


さて、リゾート会員権については、法的性質については色々な種類のものがあります。

会員権については、主にゴルフ会員権を中心に法律論の議論が進んでいます。

ただ、リゾート会員権には、区分所有権があるもの(”所有型”と言われたりします)

も多くあります(私が所有していたものもそうでした)。

ホテルをマンションのように、区分所有権の対象にして、

その区分所有権を会員で共有するというものです。

この形式は、ゴルフ会員権ではあまりなく、リゾート会員権特有のものだろうと思います。


このようなリゾート会員権の区分所有権に、

区分所有法(いわゆるマンション法)をそのまま適用してよいのかというと、

何となく違和感があり、法的な問題としては興味があります。


でも、俗世から離れるためのリゾート会員権ですから、

法律的なトラブルとは無縁であって欲しいものです。

皇室と王室

木曜日, 12月 23rd, 2010
今日は、天皇誕生日です。


今年、皇室に関して「なるほど」と思ったことがあります。


当たり前といえば、当たり前ですが、”皇室”は”王室”とは違います。

”は英語でいうと”エンペラー

”は英語でいうと”キング”です。

つまり、日本の天皇は”エンペラー”であって、

イギリスやタイ等のほかの王室は”キング”なんです。


皇帝”についてウィキペディアをみると

現代の外交上、英語においてemperorと訳されるのは日本の天皇のみである。

と書いてあります。

天皇”は、ある意味では”最後の皇帝”ですね。


たいした話ではありませんが、天皇誕生日ということで、書いてみました。