『交通事故法律ガイド~横浜の弁護士』

9月 9th, 2011
当事務所では,
①わかりやすいこと
②内容が充実していること
をコンセプトに,昨年7月に離婚法律ガイド,今年1月に相続法律ガイド
という専門サイトを作成し,とても好評なようです。

このたび,同くわかりやすさと,内容の充実にこだわった
『交通事故法律ガイド~横浜の弁護士』
が完成しました。

交通事故のサイトについては,離婚や相続に比べて充実したサイトも多いようです。
そこで,交通事故法律ガイドでは,
最近多い自転車事故の問題や,難しい問題も多い無保険車との事故の問題
刑事責任に関する問題や,過失がある場合の本人負担と保険負担の割合等
他の交通事故サイトでは,あまり解説されていない問題についても
意識して説明するようにしてみました。

当事務所での交通事故事件に対するスタンスは
脱マニュアル主義です。

交通事故については,いわゆる赤い本等のマニュアル類が充実しており
あまり慣れていない弁護士でも一通りのことができるようになっています。

しかし反面で,そのようなマニュアルを絶対視したり,
またはマニュアルを超えたことをするのを面倒がったりする
悪弊も同時にみられます。

もちろん,当事務所も実際の実務の運用をふまえて
交渉・訴訟をします。それが最適なことが多いからです。
でも,マニュアル通りの結論では納得いかないという場合,
実務の運用根拠をふまえた上で,個別の事案に即した
最適な解決を目指すよう心がけています。

もし,当事務所以外の法律相談で,赤い本や青い本や緑の本を
片手に持った弁護士から,「それは難しいですね」と言われて
納得できない場合,一度,当事務所に相談してみてください。

同じように「それは難しいですね」という答えになるかも知れませんが,
単にマニュアルからすると難しいというのではなく,マニュアルから
離れて考えても難しいかどうかも検討した上で,見通しをお話ししたいと思います。

無効になる契約

9月 8th, 2011
前回,「万引きをする」というような違法な約束は無効になると書きました。
違法というのは,万引きのように犯罪になる場合だけでなく,
民事の規定上,無効になる場合もあります。
たいていは,弱者保護という観点から決められています。

契約自由と言って,基本的にはどんな約束をしようが自由で
約束した以上は,国家権力が約束を守らせるという
ルールなのですが,強い立場の人が弱い立場の人に
一方的に不利な契約を押しつけて,
ひどい目に会う人が出てきてしまう場合があります。
そこで,あらかじめ,こういう約束は無効だよと決めておいてあります。

典型的なのは利息の上限です。
契約自由の建前からすれば,10日で2割というような
高額の利息の約束でも守らなければなりません。

そして,お金に困っている人は,思わず目の前のお金欲しさ
にそのような高額の利息の約束をしてしまいがちです。

そこで,利息制限法という法律で,利息の上限を決めて,
高額の利息の約束をしても無効ということにしています。
つまり,利息制限法を超える高利の約束をしても,
裁判所はそんな金利は認めませんということです。

なお,10日で2割というような法外な高利は,
そもそもまともな貸し付けでないとして,元金の返済義務
がなくなることもあります。
そのほかにも,借地借家法や消費者契約法で
弱者を保護するために,借家人や消費者側に不利な
一定の約束は無効になるようになっています。

無理な契約・違法な契約

9月 6th, 2011
「約束を守らない」とは言わせない,国が強制力を使って守らせる
というのが約束・契約に関する法律の仕組みと書きました。

ただ,もちろん例外があります。

「この石ころを金塊にしてみせる」と約束しても,
そんなことは無理な約束です。
ですから,そのような契約は不可能を目的とする契約として無効になります。
法的措置をとっても,石ころを金塊にする約束を守らせることはできません。

もっとも,それが詐欺話だった場合は,別途損害賠償等はできるでしょう。

また,「万引きしてきます」という違法目的の約束も無効です。
国家権力が違法な約束を強制的に守らせるというのは変な話です。
ですから,そのような約束に強制力はなく,
「約束したけど,守りません」と言っても,特に問題がないことになります。

仮に,「約束したのだから万引きしろ」とうるさく要求してきて困り果てて
弁護士に相談した場合,弁護士は
「そのような違法な約束は法的に無効であり, 守る義務はありません」
と回答することになります。

契約とは?

9月 5th, 2011
法律用語で,契約というのはとても大事な概念です。

でも,その意味するところは,約束と概ね同じです。
「契約を守れ」というのと「約束を守れ」というのは
だいたい,同じです。

よく弁護士の文書や何かで,法的措置云々と書きますが,
要は,裁判所の力を使って,無理矢理でも実行するぞ
ということです。

そんなわけで,約束・契約も,法的措置によって強制できる,
つまり,国家権力である裁判所の力で強制的に守らせることができます。

「確かに約束したけど,守るつもりはない」ということを許容しない
これを国が保証しているということです。

しばらく,そんな契約に関することを書いていこうと思います。

SFコーポレーションが破産

8月 30th, 2011
株式会社SFコーポレーションが破産になりました

これにより過払い金については,通常の回収方法ではなく,
破産手続きと配当に委ねられることになります。

SFコーポレーションは三和ファイナンスという商号だった頃から,
過払いの回収に手間がかかる業者でした。
そのような事情から,過払い金債権者による破産申し立て等もありました。
そのときに,破産を何とか避けようとしていたので,
破産をできない事情でもあるのかな,と思っていましたが,
結局破産してしまいました。

破産手続きの中で興味がある点が二つあります。

一つは,取引履歴の消去との関係です。
SFコーポレーションは,10年程度分の取引履歴しか出さずに,
それ以前は抹消したと主張してきます。
これが本当なのかどうか,しっかりチェックし,それが虚偽であった場合は
しかるべき対応をとってもらいたいと思います。

もう一つは,武富士と同じように潜在的な過払い債権者に対して
一斉に,通知を出すのかどうかです。
多重債務に陥る場合,武富士やアコム等の大手から借りている人は
大手ばかりから借りていることが多く,
SFコーポのような準大手から借りている人は,準大手から借りていること
が多いという傾向があります。
そこで,武富士の一斉通知を受けなかったが,準大手クラスとの取引は
あるという人は相当程度いる可能性があります。
そこで,もしSFコーポも一斉通知をすると,それをきっかけに
ほかの業者の過払いに気づく人も相当程度出てくる可能性があります。

報道によると,最近は大手業者に対する過払い請求が減ってきているとのことです。
実際,その影響か,過払い回収の交渉において,
大手業者が以前より提示条件がよくなってきている気がします。
そんな中でのSFコーポレーションの破産ですので,
少し意外でした。

バッテリー上がり

8月 25th, 2011
先日、車のバッテリーが上がりました。
どうも、バッテリーが上がりやすい車のようで、
2年前にも上がって、バッテリーを交換したのですが、
また、あがってしまいました。

バッテリーがあがっても、今は色々サービスがあるので、
電話一本で、引取りに来てくれて便利です。
でも、バッテリーについては、苦い苦い思い出があります。

高校生の頃、原付に乗っていました。
ヤマハのキュートという、スクーターです。
当時はスクーター花盛りの時代で、色々性能のよい
のもありましたが、とても地味で遅いスクーターでした。

でも、遅いだけならよいのですが、何故か、
バッテリーが充電されないという欠陥を抱えていました。
家庭用の充電器で、しっかり充電すればしばらく
使えるのですが、だんだん、残りがなくなって、
そのうち、セルモーターが回らなくなって、
エンジンを掛けられなくなります。

本当なら、エンジンが回っている間、
バッテリーが充電されるはずなのですが、
充電されないのです。

バッテリーを交換しても改善しません。
また、バッテリーがあがっても、エンジンがまわっていれば、
ライトはつくので、発電装置が壊れているわけでもなかった気がします。
原因は良く分かりませんが、結局直りませんでした。

その結果、ふと遠出して、エンジンを掛けようとすると、
かからないということが何度となくありました。
また、エンジンが回っていても、信号停車中に、
アイドリングが不安定になって、パタとエンジンが止まり、
再度かけることができなくなる。ということもありました。
それが、怖くて、いつも信号待ちではふかし気味にしてました。

エンジンが止まって、動かなくなったため、2時間くらい
スクーターを押して家まで帰ったことが何度かあった気がします。
途中のガソリンスタンドで頼めば、エンジンを掛けてくれるの
でしょうが、内気でなかなか頼めず、
これだけひどい目にあっても、頑張って押していれば、
いつか、いいこともあるはずだ、なんてブツブツ考えながら、
スクーターを押して、歩いていきました。

そんなせいで、しばらくはバッテリー上がりトラウマで、
バイクを買う場合も必ずキックがついているものにし、
車も始めた買った車は、いざというときに、押しがけができる
マニュアル車でした。
でも、その後は、 さすがにそういう目に会うこともなく
現在に至っています。
我慢して、ブツブツ歩いていた成果かもしれません。

 

簡易裁判所の管轄

8月 18th, 2011
裁判所には、場所による管轄があります。
裁判の当事者と、無関係な場所で裁判はできないルールです。

基本的には、相手の住所の場所を管轄する裁判所になりますが、
訴える側の住所でできる場合も多くあります。

管轄の違うところで裁判をしようとしても、管轄違いと言って
本来の裁判所に移されてしまうことが通常です。
そんなわけですから、管轄がどこかは大切です。

さて、当事務所の主事務所は二俣川にあり、横浜市の旭区、
瀬谷区のほか、泉区の方も多く相談に見えます。
その横浜市泉区の、簡易裁判所の管轄は、なんと鎌倉簡易裁判所なのです。

泉区の住民の一部は、横浜市営地下鉄の沿線ですので、そちらの方にとっては
戸塚から鎌倉に行くことは、まあ許容範囲かもしれません。
でも、泉区の住民の多くは、相鉄線の沿線に住んでいます。
相鉄線の沿線から、鎌倉と言ったら、かなり遠いです。

ちなみに、横浜地方裁判所本庁管轄内には5つの簡易裁判所があります。
泉区の弥生台駅から、各簡易裁判所の近くの駅に行く時間は
藤沢簡易裁判所(藤沢駅) 25分(電車17分+徒歩8分)
神奈川簡易裁判所(東神奈川駅)29分(電車24分+徒歩5分)
横浜簡易裁判所(日本大通り駅)32分(電車30分+徒歩2分)
保土ヶ谷簡易裁判所(星川駅)35分(電車17分+徒歩18分)
鎌倉簡易裁判所(鎌倉駅)45分(電車32分 +徒歩13分)
(とりあえず近くの駅に10時につく場合として、乗り換え検索サービスで調査)
(徒歩はグーグルマップでの徒歩ルートでの時間)

と総時間でも電車の時間でも一番遠いのです。

本来は近くの場所を管轄の裁判所にするという当然のことが
逆の状況になっています。

なぜ、こうなっているかと言うと、現状は合理性がないのですが、
歴史的な合理性があります。
つまり、泉区はもともと戸塚区が分裂してできた区です。
戸塚区のメインは横須賀線の沿線ですから、鎌倉は遠くありません。
そして、戸塚区から泉区が行政の問題で分割されたとき、
裁判所はきちんと対応を考えずに、機械的に旧戸塚区を
鎌倉簡裁の管轄にしたものと思われます。

簡易裁判所は額が小さい事件が多く、弁護士に依頼せず、自分で裁判所に
行くことが多い場所です。そういう意味では、管轄の便利さは、より重視されるべきです。
そして、そのような苦情は、たくさん簡易裁判所の受付段階では言われているのだと
思いますが、その声は、全く上のほうには上がっていないようです。

 

不愉快と愉快のバランス

8月 17th, 2011
今期好調のヤクルトも最近は失速気味です。
例年そうですが、ヤクルトが負けると不機嫌ですし、
連敗が続くと、ずっと不機嫌です。
そうなると、あまり試合も見ないのですが、
気になって、ちょこちょこ試合経過をみて、
やはり負けていて、不愉快な気持ちになります。

この不愉快な気分なしで、
勝ったときだけ愉快な気持ちになれればよいのですが、
なかなかそうもいきません。

負けたときに不愉快になるだけの関心があるからこそ、
勝ったときに心底うれしくなって、気分良くなれるのでしょう。

そうすると、愉快と不愉快は、結局はゼロサム(差し引き0)?
という気もします。
でも、やたらご機嫌な人や、やたら不機嫌な人も世の中にはいる気もします。

仮にゼロサム だとすると、愉快も不愉快もないよりは、
愉快も不愉快も十分にあったほうがよい気がします。

さて、ヤクルトが強い年は、気分も良く、何事もよいかというとそうでもなくて、
平成9年の野村ヤクルトが最後に日本一になった年、
私は、司法試験受験中で、史上最短合格計画と称して、ぎりぎりの勉強をしていました。

しかし、ヤクルトが余りにも強いと、ついつい試合を見続けて、ついでに
夜のスポーツニュースををハシゴして、となって・・
あと少しのところで、史上最短合格計画は失敗に終わってしまいました。

もっとも、それでもう一年じっくり勉強できたことが、今の糧になっていることは確かなので、
何が本当によいのかは良く分かりません。

石井一久~「好きこそ」でないから、未完の大器~

8月 7th, 2011
西武の石井一久投手が、史上最速で20人目の2000奪三振を達成しました。
先日、ヤクルトのエースは誰かということを書きましたが、その前のエースは間違いなく石井一久です。

石井一久は、この2000奪三振もそうですが、実績十分なベテラン一流選手ですが、未だに未完の大器の趣があります。
普通、未完の大器とは、実績のない若い選手に使う言葉で、そのうち消えていくか、一流になっていきます。
ですから、すでに一流になった石井に未完は、変なのですが、
本当は、超一流、もっと言えば、日本史上最高の投手になれないまま、ここまで来てしまった感があります。

今回の、2000奪三振も今までの最速記録は、日本史上最高との声が多い江夏です。
また、江夏も野茂も達成できなかった、シーズン奪三振率11超えを達成したのも石井だけです。
他の一流・超一流選手がどこかで、三振へのこだわりを捨てて、勝ちにこだわりを持って
実績を重ねるのに対し、石井は三振へのこだわりを捨てずに、ここまで来たのかもしれません。

メジャーでも、石井は前半戦は気が向くのか、調子がよく、シーズン終盤になって失速を繰り返しました。
その結果、2002年から2004年の3年間の前半戦だけの勝利数29はメジャー最高となります。
つまり、この3年間の前半戦ではメジャーナンバーワンとも言える活躍をしています。

こういうエピソード的な部分では、石井の超一流の片鱗はたくさんあります。
でも、現在の実績は、一流ですが、超一流にはとどかないままです。
そして、まもなく引退するだろうという気がします。

その石井の言葉は独特ですが、基本トーンとしては、
「野球はそれほど好きでない」というものです。
つまり、「好きこそものの上手なれ」ではありません。
その中で、人並みはずれた素質を頼って、一流の成績を上げてきているようです。
もし、野球が好きになって、イチローのように励めば、きっと超一流で
メジャーでも有数の選手になったのではないか、という思いがあるせいで
未完の大器といいたくなるのかもしれません。

自分の仕事について,素質に恵まれていても,好きになれるとは限りません。
そういう人にとって「好きこそ物の上手なれ」というのはプレッシャーです。
好きになるかどうかは,努力では,何ともならないからです。
そんな中,好きでないと言いながらも,一流といえる成績を残し続ける
石井一久は,独自の光を放っていると思います。

 

歩く

8月 6th, 2011
甲子園がはじまったようです。
この夏の炎天下で、 野球をするのも大変ですが、
甲子園に出たとなれば、一生モノの記念碑でしょうから、
普通の高校生からしたら、とてもうらやましいことでしょう。

さて、私は高校生のときは、山岳部。野球のような、花道はありません。
そんな中、横浜から富山まで歩くことにしました。
35キロ程の荷物を背負い、駅舎等で泊まりながら、一人で、ひたすら歩きました。

足は靴擦れだらけで、はりで水ぶくれの水を抜いても、その中にまた水ぶくれができるし、
荷物は重くて肩や背中が悲鳴をあげるし、ひたすら苦痛に耐えるような行でした。
人から見れば意味不明の行いですが、
それをやり遂げたことで、それなりに自信になりました。

素質に恵まれない人間が、何か自分の中で自信を作るには、
苦痛に耐え抜くというのが、ひとつのやり口かもしれません。

前に進むのは痛くてきついだけだし、誰に命じられたわけでも、
誰に望まれているわけでもないという状況で、
とにかく一歩一歩、あと10分は頑張ろう、を繰り返しながら前に進み続ける
というある種の精神的な訓練は、今でも役に立っている気がします。