Archive for 8月 18th, 2011

簡易裁判所の管轄

木曜日, 8月 18th, 2011
裁判所には、場所による管轄があります。
裁判の当事者と、無関係な場所で裁判はできないルールです。

基本的には、相手の住所の場所を管轄する裁判所になりますが、
訴える側の住所でできる場合も多くあります。

管轄の違うところで裁判をしようとしても、管轄違いと言って
本来の裁判所に移されてしまうことが通常です。
そんなわけですから、管轄がどこかは大切です。

さて、当事務所の主事務所は二俣川にあり、横浜市の旭区、
瀬谷区のほか、泉区の方も多く相談に見えます。
その横浜市泉区の、簡易裁判所の管轄は、なんと鎌倉簡易裁判所なのです。

泉区の住民の一部は、横浜市営地下鉄の沿線ですので、そちらの方にとっては
戸塚から鎌倉に行くことは、まあ許容範囲かもしれません。
でも、泉区の住民の多くは、相鉄線の沿線に住んでいます。
相鉄線の沿線から、鎌倉と言ったら、かなり遠いです。

ちなみに、横浜地方裁判所本庁管轄内には5つの簡易裁判所があります。
泉区の弥生台駅から、各簡易裁判所の近くの駅に行く時間は
藤沢簡易裁判所(藤沢駅) 25分(電車17分+徒歩8分)
神奈川簡易裁判所(東神奈川駅)29分(電車24分+徒歩5分)
横浜簡易裁判所(日本大通り駅)32分(電車30分+徒歩2分)
保土ヶ谷簡易裁判所(星川駅)35分(電車17分+徒歩18分)
鎌倉簡易裁判所(鎌倉駅)45分(電車32分 +徒歩13分)
(とりあえず近くの駅に10時につく場合として、乗り換え検索サービスで調査)
(徒歩はグーグルマップでの徒歩ルートでの時間)

と総時間でも電車の時間でも一番遠いのです。

本来は近くの場所を管轄の裁判所にするという当然のことが
逆の状況になっています。

なぜ、こうなっているかと言うと、現状は合理性がないのですが、
歴史的な合理性があります。
つまり、泉区はもともと戸塚区が分裂してできた区です。
戸塚区のメインは横須賀線の沿線ですから、鎌倉は遠くありません。
そして、戸塚区から泉区が行政の問題で分割されたとき、
裁判所はきちんと対応を考えずに、機械的に旧戸塚区を
鎌倉簡裁の管轄にしたものと思われます。

簡易裁判所は額が小さい事件が多く、弁護士に依頼せず、自分で裁判所に
行くことが多い場所です。そういう意味では、管轄の便利さは、より重視されるべきです。
そして、そのような苦情は、たくさん簡易裁判所の受付段階では言われているのだと
思いますが、その声は、全く上のほうには上がっていないようです。