Archive for the ‘弁護士勝俣豪の雑感’ Category

聞く人と読む人

月曜日, 12月 20th, 2010
そろそろ今年も終わりです。

私が今年聞いた言葉の中で、強く印象に残った言葉が、

”世の中には、読む人と聞く人がいて、その両方できる人は滅多にいない”
というドラッカーの言葉でした。


物事を学習する上で

授業や講義で学ぶタイプと、本を読むタイプがいるということです。


この言葉を聞いて、長年の謎が解けました。


私は前々から、”授業”というのは

教科書を読めば10分で分かることを

延々40~50分かけて行う意味不明の儀式だと思っていました。


しかし世の中には”聞く人”がいて、

”聞く人”は、自分で読むのではなく、

誰かから教科書を読んで聞かせてもらってはじめて

理解できるということだったのです。


私は、おそらく”読む人”なのでしょう。

いまだに、講義の類は退屈でたまりません。


私が中学生だった頃、神奈川県の高校受験は

神奈川方式という内申点重視の方法でした(今もそうかも知れません)。


”読む人”タイプにとっては、

授業は苦痛以外の何ものでもないので、

当然、授業態度はイマイチとなり、内申評価に響きます。

神奈川方式は、授業管理上は、好ましいのでしょうが、

”読む人”タイプを排除する方式です。


一発試験であれば

読もうが書こうが自分のスタイルで理解だけすればよいわけですから

両タイプを尊重しているといえます。


現在の弁護士資格試験も、”聞く人”向けになっています。

私の頃は、一発試験だったので

自分のやり方で必要事項をマスターすればよいのですが

今は、ロースクールで延々、授業を聞かされることになるようです。


この方式も、”聞く人”のことだけ考えているように思います。


”聞く人”重視だなぁと感じるのは、試験についてだけではありません。

最近の弁護士会では、一定の業務をする要件等に

”講義を受講したこと”を要件とすることが増えています。


これも、”読む人”のことは全く考えていないように思います。

これについても、管理する側の都合からすると

”読む人”のことは考えにくいのかも知れませんが。


もっとも”読む人”にも、大きな利点があります。

たいていのことは、書籍代以外に、お金を掛けずに独習できるということです。

私も、大学受験にしろ、司法試験受験にしろ、

予備校の類にはほとんどお金は掛けていません。

”読む人”タイプであれば

勉強にそれほどお金をかけずにすむということです。


弁護士業務に関しても、何年か前から

裁判官に対して

書面だけでなく、口頭でも同じことをできるだけ説明するようにしてきていて

そのほうがしっかり伝わっている気がしていました。


おそらく、裁判官の中にも”読む人”と”聞く人”がいて

”聞く人”の裁判官には書面ではなく、口頭で説明したほうが

よく伝わるのかも知れません。

このような具合に、”読む人””聞く人”の話は

今まで漠然としていたことが、色々と整理されたり、色々考えついたりして

とても印象に残りました。

大河ドラマ「龍馬伝」終了

火曜日, 11月 30th, 2010
大河ドラマ「龍馬伝」が終わりました。


私個人は、坂本龍馬に特に思い入れはないので

そこまで感情移入することなく見ていました。


歴史ドラマを見る時、

俳優が、歴史上の人物をどのように演じるかをみて楽しんでいますが

今回は

近藤正臣さん演じる山内容堂(豊信)



田中泯さん演じる吉田東洋(元吉)

がよかったです。


全体的に、筋書きは深みがないと感じたものの

吉田東洋(田中泯さん)と武知半平太(大森南朋さん

の対談の場面はよかったと思いました。


身分を問わず有能な人材を発掘したい吉田東洋は

武知半平太と面談し、その中で攘夷のおろかさと開国の必要性を話します。

しかし武知は、尊王攘夷を頑迷に唱え

吉田は失望して声を荒げて武知との面談を終えます。

しかし武知は、身分故にバカにされたと理解し、憎しみを募らせます。

コンプレックスで目が曇っていた武知は、吉田の真意を理解できなかったのです。


様々な理由で理屈がうまく通じず

話がどんどんこじれていくというのはよくあります。

当事務所に寄せられるご相談も

きっかけはこのようなことだったりすることがよくあります。


私が依頼を受け交渉をする際も

はじめに思わぬところから感情的に問題が生じないように

慎重に接することが多いです。


来年の大河ドラマは

江〜姫たちの戦国〜

とのことです。

戦国時代から安土桃山時代には

個性的な人物がたくさんいますので

それぞれどのように演じられるのか、来年が楽しみです。

~力(○○リョク)

木曜日, 11月 4th, 2010
新聞の下の方にあるの書籍の広告欄をみると

”~力”について書かれたものがとても多いことに気づきます。


amazonで”力”で検索してみると

微差力、断る力、悩む力、敗者復活力

伝える力、奇跡力

等々、実に様々な”力”が出てきます。


人生において、なにかとうまくいっている人を見ると

何か自分とは違う力を持っているのではないか?

その力とは何だろう?

という気持ちを利用した商法なんでしょう。


昔から「怪力乱神を語らず」と言います。

わざわざそんな言葉があるからには

昔から怪しい力を語る人は多くいたのでしょう。


もちろん、学力や視力のように

”怪力”ではない”力”もあります。

世の中の怪しい屁理屈を見破る私なりの方法の一つとして

何でも説明できる理論は相手にしない

というものがあります。


たとえば、「強い者は勝つ」という理屈は

何が起ころうが、勝った側を強かったという限り

何でも説明できてしまいます。

それはすごいことではなく、何も言っていないことと同じです。

強い者は勝つ」という理屈が意味を持つためには

勝負の前に強いか弱いかを測定する方法が必要です。

もし事前に強いと測定された者が負けたら

強い者は勝つ」という理屈が間違っていたことになりますが

少なくとも無意味な理屈ではなかったことになります。


これを科学哲学の用語で”反証可能性”と言ったりします。

つまり「○○力を持つ人は皆成功している」式の話は

それが「強い者は勝つ」のように

何でも説明できる理屈ではないかを常に意識する必要があります。

毒キノコ騒動と法律問題

月曜日, 10月 25th, 2010
最近、直売所等で

毒キノコが間違って販売されたということが話題になっています。

「毒キノコ1パック回収 「前代未聞」 残りの回収急ぐ」

「毒キノコ:クサウラベニタケで5人食中毒 東近江でも被害」

この問題を法律的な観点ときのこ好きの観点からみてみたいと思います。

まずは、法律的観点から。

食べられるキノコとして”クリタケ”

”クリタケ”とよく似た毒キノコとして”ニガクリタケ”
を例に挙げ、

とある直売所が

”ニガクリタケ”を誤って”クリタケ”として販売した、

という設定でお話したいと思います。

これは、クリタケの売買契約の問題です。

買い主側としては

クリタケと思って購入したのに、実際はニガクリタケだった!」

ということで

”錯誤無効”として売買契約は無効だったと主張できます。

これによって、直売所に対して

クリタケを購入した際に支払った代金の返還請求ができます。

もし、買い主が、ニガクリタケを食べてしまって

お腹を壊し、治療費等が発生したら

不法行為(故意・過失で違法なことして、

人に損害与えたら弁償する必要があると言うルール)

によって、その治療費を請求できます。

別の弁護士は、またこれとは違った切り口で主張するかもしれません。

直売所と買い主の間では、クリタケの売買契約が成立した。

ところが、実際に引き渡されたのは、ニガクリタケだったので

あらためてクリタケの引き渡しを請求できる。

場合によっては

「一定期間内にクリタケを引き渡せ!」
と催告した上で

売買契約を解除して、代金返還請求ができる。

売買契約の不履行による損害賠償として治療費を請求できる・・・。

業者間のキノコ売買であれば

このような考え方がよいかも知れません。

しかし今回のケースは、あくまで直売所と個人とのやりとりです。

目の前のパック入りキノコを買って

それが思っていたものと違っていたのであれば

初めに紹介した考えの方のほうが自然な気がします。

このように同じ事実でも、色々な観点からの分析が可能です。

また、その分析の仕方によって、請求できるものが変わったりします。

考え方として

何通りの構成がありうるか?
そしてどの考えが依頼者の意向に沿うか?

どの考えが現実の分析として自然か?

という観点での分析が、弁護士にとって重要な作業になります。

さて次に、キノコ好きの観点からすると

「毒キノコか否かはそんなにはっきりしたものでない」
ということです。

キノコの本をみると

・以前は食用とされたが、最近中毒例が報告されたので、毒に分類した
・おいしいキノコだが、外国では毒キノコとされる(または、その逆)

・ある本では毒キノコに分類され、ある本では食用に分類される

・酒と一緒に食べると、中毒する

・沢山食べ過ぎると中毒になる

等、ごく一部の猛毒キノコを除くと、

実は毒キノコと食用キノコの境目は曖昧なのです。

そして、近頃の毒キノコ騒動で話題の

”ニガクリタケ””クサウラベニタケ”

名前のとおり、苦かったり臭かったりします。

ですから、直売所にキノコを持ち込んだ人は

「かじって苦ければそれがニガクリタケ

万が一、このなかにニガクリタケが混じっていたとしても

料理する前にちょっとかじれば分かるだろう」

くらい気持ちだったかも知れません。

私も、直売所に売っているキノコを食べているうちに

どんどんキノコに興味がわきました。

ですので

そこに毒キノコが混じっていたら、怖いなあと思う反面

山のキノコはそういう手段でしかなかなか手に入らないので

この件に懲りずに販売を続けて欲しいなあと思います。

朝日新聞社説『成年後見10年』

金曜日, 8月 20th, 2010
本日の朝日新聞の社説

成年後見10年 連帯の支え手を広げよう
との内容でした。


専門家に成年後見を依頼したとしても

費用を払う財産のない場合はどうするか?

やる気のある市民に

ボランティアでやってもらう体制を築いていこうとう

趣旨のようです。


ただ、無報酬でも、責任は責任。

万が一、ミスがあったときには

責任を負わなければなりません。


このあたりについて

保険を整備するなり、法整備をするなりしたほうが

よいのではないかという気がしないでもないです。


現状は

高齢者の判断力がなくなっていても

成年後見人を選任せず、身内が事実上管理しているということが多いようです。


しかしこのやりかたでは

法律上、(身内とはいえ)人の財産を勝手に管理しているように

見られてしまう恐れもあります。

(高齢者に判断力がないとすると、依頼を受けているということはできません)。


そういう意味で、しっかり成年後見の手続をして

財産管理の権限を明確にしておいてほうがよいと思います。



成年後見制度については、当事務所のホームページの

こちらをご参照下さい。

ダーウィンが来た。争いごとは続く?

木曜日, 8月 12th, 2010
日曜夜7時半からのNHKテレビ番組「ダーウィンが来た!」
は、子供が好きなので、よく見ています。

それにしても、動物も争いごとは好きですね。

なわばりや食料やメスを巡って、同じ動物の中で

色々と喧嘩して闘います。

それなりに勝敗を巡る仕組みがあるのか、

適当なところで勝ち負けが決まり、負けた方は退散します。

人間にとっての謝罪も、そういう仕組みなのかな

と思うことがあります。


道徳的・法律的な善悪はともかく、謝罪があることで
相手の怒りが収まり、動物的な戦闘モードが終了する
のかも知れません。


弁護士としては、医者が「世の中を健康にしたい!」

と思うように、「争いごとをなくしたい!」という

気持ちがあります。


でも、ダーウィンで見る動物たちの争いごとをやめさせる

というのは、どうみても愚かです。

争いごとも人間社会の仕組みのひとつとして、

上手に付き合っていく以外にないのかも知れません。

R25 8月号「連帯保証人」制度のギモン

火曜日, 8月 10th, 2010
フリーペーパーのR25に

日本のは世界一リスクが高い?『連帯保証人』制度のギモン
との表題で記事がありました。


概略は

政府が連帯保証人制度をみなおし、

連帯保証人に対して

契約内容や債務者の資金繰り情報についての

説明義務をもうけるといった内容。


実際のところ、債務整理をしていて、最もやっかいなのは連帯保証です。

もちろん、連帯保証人になってしまった人もかわいそうですが

「連帯保証人に迷惑がかかるから、自己破産はできない」
と言って無理を重ねる方も多くいます。


実際、連帯保証人をつけてまで融資を受けてしまうことは

自己破産というとても便利な逃げ道をふさぐことになりかねません。


通常の消費者金融は連帯保証人をとることは少ないです。

株式会社エイワくらいではないでしょうか?


でも、他の消費者金融も

家族の名前を契約書に書かせて

連帯保証しているかのように誤信させて

債務整理を躊躇させているフシはあります。

(連帯保証人が印を押さない限り、

勝手に名前を書いただけで、

連帯保証人にされてしまうことはないです。)


連帯保証人をとる典型は

いわゆる商工ローン(SFCG(旧商工ファンド)や

ロプロ(旧日栄)等)と信用保証協会です。

商工ローンはともかく

債務者救済を、

公的な金融機関である信用保証協会がジャマをしていることが多い現状に

強いギモンを感じます。


しかし今や商工ローンの多くは倒産し、

信用保証協会もようやく連帯保証人を要求することをやめたようです。

そういう意味では多少自体は改善しているかも知れません。


それ以外に、気の毒だと思うのは

連帯保証人が死亡した場合の相続人です。

連帯保証も相続の対象となるのです。

「父親が連帯保証人になっていたことを
父親の死後はじめて知った。
気づいたら巨額の債務の連帯保証人になっていてしまった」
という相談も少なくありません。


話は少しそれますが

連帯保証”と”保証”はえらく違うんだ!

と法律の教科書に書いてあることを思い出しました。


でも実際上、連帯保証でないただの保証はマレです。

しかも、ただの保証人にはあるが連帯保証人にはない

催告の抗弁権(まず主債務者に請求せよと言える)



検索の抗弁権(主債務者に財産があるぞと言える)

なんて

それほど役に立つとは思えないので

連帯保証”かただの”保証”かはそれほどこだわる必要はありません。

ただし、保証人が複数いる場合は

ただの保証だと頭割りにできるという大きなメリットがあります。



連帯保証保証でお困りの方は

一度ご相談にいらしてみてください。

NIKKEIプラス1「無料相談会 活用」

日曜日, 8月 8th, 2010
NIKKEIプラス1(日本経済新聞の土曜版生活情報週間紙)に

「お金の悩み、無料相談会 活用」
「解決手順を専門家が助言」
との記事がありました。


高齢者の財産管理や借金整理、相続・遺言、雇用・仕事等についての

無料相談会の一覧が記載されていました。


このような相談会は時間制限があり

相談の途中でも時間がくれば

話を切り上げられてしまうこともありますので

相談したいことをしっかりまとめてから

相談に行くのが良いと思います。


当事務所でも、案件により無料相談を行っています。

借金整理相談については
初回30分無料です。また電話での無料相談もしています。

また遺言書作成相談についても
初回30分無料です。

「自分で書いた遺言書の文面が不安」
「そもそもどうやって遺言書を書けばいいのか分からない」
などの場合には

ご相談にお越しいただければアドバイスをいたします。


”30分無料”と聞くと

いつの間にか制限時間を過ぎてしまって

延長料金がかかるような印象をお持ちの方もいるかも知れません。

しかし当事務所では、相談を始める前に必ず

「無料の範囲内(30分以内)での相談をご希望か」
を確認しますので

いつの間にか時間を過ぎてお金がかかってしまった!

ということはありません。

安心してご相談下さい。


話が前後しましたが

冒頭でご紹介した無料相談会について、私見を書きたいと思います。


相談内容によっては複数の相談先が紹介されていました。

どんな相談を、どこに相談するのが適切なのでしょうか?


雇用・仕事については

弁護士司法書士社会保険労務士の3つの相談先があります。

トラブル含み(残業代を払わない、不当な解雇だ 等)の場合は

弁護士がよいと思います。

細かな社会保険関係の話であれば、社会保険労務士

弁護士費用を聞いて

「それでは割にあわない」と思ったら

比較的費用が割安な司法書士に相談してみても良いかもしれません。


借金については、弁護士司法書士の2つがありますが

これについては弁護士に相談するのが一番良いのではないかと思います。

費用面では、弁護士でも司法書士でも大差はないようなので

どちらに依頼してもいいような気もしますが

借金整理での弁護士司法書士の一番の差は

司法書士の場合、

基本的に自分で裁判手続をしなければなりませんが

弁護士の場合は

裁判手続含めすべてを弁護士に任せられるという点です。


司法書士は、

破産・個人再生や多額の過払い回収の場合

後ろでアドバイスする立場に引かざるを得ませんが

弁護士にはそのような制限がないからです。


成年後見等、高齢者の財産管理の相談先には

司法書士行政書士があります。


どちらかといえば司法書士のほうがよいでしょう。

ただ、これも本当は弁護士に相談するのが良い分野です。

弁護士によっては、成年後見等の取扱いをしていない弁護士もいますので

ホームページなどで取扱分野を確認したほうが良いと思います。


相続・遺言については、公証人司法書士です。

相続問題は、揉め事がなく、不動産がある場合は司法書士に相談。

揉め事がなく、財産が多額な場合は税理士に相談。

揉めている場合は弁護士に相談というのが基本です。


遺言書作成は

公正証書遺言をつくるのであれば、公証人に相談。

自筆証書遺言か公正証書遺言か等

入り口の段階から相談したい場合で

揉め事がなさそうなら司法書士

将来、揉め事が起こりそうだ、

その前に出来る限り事前に手を打った遺言をつくりたい、

といった場合は弁護士が適任です。




何かお困りごとができたとき、お役に立てば幸いです。

自由と正義

金曜日, 7月 16th, 2010
弁護士には、毎月『自由と正義』という雑誌が

日弁連(日本弁護士連合会)から届きます。

雑誌の中身は、法制度や弁護士業界の動き等に関する記事が多いのですが

弁護士の懲戒に関する公示がされるので

大半の弁護士はそれをよく読んでいることと思います。


弁護士が懲戒に関する公示について気にするのには理由があります。

刑事犯罪や事件放置等、明らかな問題行為はともかく

依頼者のために頑張りすぎて限界を超えたとか

どっちの行いをしてもグレーと言わざるを得ない二律背反状況での行い等

線引きの難しい行為について懲戒になることもあるからです。


弁護士の懲戒は「品位を失うべき非行があったかどうか」
という曖昧な基準で判断されるので

『自由と正義』に掲載される具体的な事例をみながら

自分なりに基準をつかむしかないのです。


”人を処罰するときは法律と刑罰を予め定めなければならない”
という原則を「罪刑法定主義」と言います。

要は、「悪いことをした者は適宜処罰する」

というおおまかな法律だけ作って

具体的に、何が悪いことか?どのような刑を科するか?は

裁判官の裁量次第、というようなことは許されないという原則です。


しかし、弁護士の懲戒制度は

何が悪いことか?を事前に明らかにしていません。

明確な基準がないなかで

「品位を失うべき非行があった」
と判断されてしまえば、懲戒となってしまいます。


さらに弁護士の懲戒制度で困ったものだと思うのは

”業務停止”という制度です。

懲戒処分の大半は”戒告””業務停止”です。

なかでも”業務停止”になると

現在依頼を受けている事件もすべて辞めなければなりません。


つまり、たまたま懲戒になった弁護士に依頼していた依頼者は

自分に関係ない理由でいきなり事件を放り出されるわけです。


懲戒になった弁護士が不利益を被るのはともかく

懲戒とは何の関係もない依頼者が面倒を被るという

無責任で内向きな制度だと思います。


他の業界であれば”業務停止”の処分が下されても

”新規○○業務の停止”等、業務停止の内容を限定し

既存顧客に影響が出ないようにするでしょう。

しかし弁護士はそうはいかないのです。


弁護士の懲戒制度も、”除名””退会命令”等の強度の場合はともかく

頻繁に行われる”業務停止”については

既存の依頼者に迷惑をかけない制度にすべきだと思いますが

今のところ変化はないようです。


いずれにしろ、万が一にも依頼者に迷惑を掛けないよう

当事務所では内部規律の向上を心がけています。

社長の報酬

水曜日, 7月 14th, 2010
最近、社長の高額な報酬について話題になっています。


高いか安いかは色々考えがあると思いますが

私は、社長が高額な報酬をもらうことに賛成しています。


「頑張って勉強して、
人並み外れて仕事も頑張れば、
こんなに報酬がもらえるんだ」
「がんばったぶんだけ見返りはあるのだ」
という成功ストーリーは、必要なのではないかと思います。


ある研究所の調査結果

”日本人の子供は世界の子供に比べて
「偉くなりたい」と考えている子供の割合が極端に少ない”
というものがあるそうです。


日本の現状をみると、子供たちがそういった考え方になってしまうのは

ある意味仕方のないことかもしれません。


有名な野球選手やサッカー選手が

いくら高額な年俸もらっているとはいっても

大半の子供の進む道と無関係です。

勉強してよい学校に入って

よい会社に入って・・・という普通の努力の道の先に

今の生活からは想像できないような世界が待っている。

これは、子供が「頑張ろう」「偉くなろう」と思うためには

とても大切なことではないかと思います。


今まで、大企業の社長の高額年俸という成功ストーリーは

世間から隠されていました。

それが明らかになることは

長期的に見ると、とてもよいことだと思います。