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登山的時間感覚

土曜日, 10月 22nd, 2011
最近は、2年に1度子どもと行くくらいで、もう現役とは言えませんが、
高校時代は山岳部で、大学時代も岩登りを含め色々登り、
富士山の登山ガイドをするなど、昔は結構、山男でした。

その中で、身についた登山的時間感覚は、今でも自分の仕事の仕方に
影響がある気がします。

登山をしたことがない人は、きっと時間に縛られないのんびりした時間感覚
なんだろうと思うかもしれませんが、まったく逆です。
四六時中、時間のことをばかり考えています。

たとえば、その日の行程が地図上6時間かかると書いてあり(登山地図には、
ポイント間の標準的な移動時間が記載されていて、これをコースタイムといいます)、
自分も荷物の重さ等から、同程度の時間がかかると予定されているとします。

そうすると、朝3時起床の5時出発で、次のテン場(テントを張る宿泊予定地)には
昼飯の1時間を加えて、12時に着くと予定を立てます。
まず、ここで日が沈む時間までに大幅な時間の余裕を見ています。
仮に、誰かがバテたり、捻挫等の怪我をしたり、道に迷う等のあっては困るアクシデントが
起こったとしても、何とか対処できる程度の、時間的余裕をみて計画を立てています。

そして、出発します。基本的には、コースタイム1時間のところを50分で進み、10分休んで
再び出発するというペースを作ります。
その50分歩いている間も、予定通り1時間のところを50分で進めているかどうかは、
かなり細かく意識しながら進みます。というのは、山域ごとに登山地図があるのですが、
コースタイムが厳しいここと、甘いところがあるので、それを把握する必要があるからです。
コースタイム6時間と記載されていても、他の山域の地図のペースだと8時間くらいかかる
大変なコースのこともあれば、4時間くらいで済んでしまうようなこともあります。

そんな中で、予定通り1時間の場所まで50分でたどり着けたかどうかは、とても重要です。
もっといえば、その場所まで45分でたどり着くことができ、予定よりもう少し先まで行って
第1回の休憩をとれるようだと、少し貯金ができた気分で、気持ちに余裕ができます。
逆に、50分たっても、1時間の地点まで行けないと、あせります。あと10分で1時間地点
にたどり着けるのか、さらに20分かかるのかは、そこまで行ってみないと正確にはわからないこと
が多いからです。仮に、1時間地点まで、1時間10分かかってしまうとなると、6時間のコースタイムだと、
7時間かかることになり、50分に1回休むと、小休憩が7回は必要で、それが 70分でプラス昼飯1時間だと
8時間10分かかる。そうすると、到着予定は13時10分になる。まあ、なんとか許容範囲か。
でも、誰かが早い段階でバテたら、予定を変更することも考えなければならない。
でも、できれば、挽回したいので少しペースを上げてみるか、等、いろいろ考えます。

また、油断ならないのは、休憩時間です。10分の予定でも、油断するとすぐに15分等、経ってしまいます。
50分で行く予定のところを5分節約して45分で行くことはかなりハードですし、間違えると誰かバテます。
ですから余分に休んでしまった5分を取り返すのは、かなり大変になります。

そして、自分または誰かがバテた場合。この場合も、とにかくどんなにペースが遅くなっても
進み続けることです。そして、このペースで進めば、何時どこまで行けるのかを常に計算することです。
長い間休んだところでバテは回復しませんし、止まっていたら、何時まで経っても、どこにも着きません。

と、昔のことを思い出しながら、ダラダラ書きましたが、今の仕事においても、
締切に間に合わせるためには、病気・PCの故障等、多少のアクシデントがあっても
間に合うよう、かなり余裕を持って前倒しにしています。
長い書面作成や調査等でも常に、このペースで行くと、悪く転んでいつ完成予定か
ということは常に計算しています。
また、先が見えない場合でも、とにかく何かをして前に進めるようにしています。

あるとき、自分の仕事の仕方がこの業界では少数派のようだと思った時、
自分の仕事ペースは登山の影響かなと考えた次第です。